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2012 年度 実施状況報告書

内生的人口変動と国際貿易に関する動学理論の研究

研究課題

研究課題/領域番号 24530277
研究種目

基盤研究(C)

研究機関南山大学

研究代表者

太田代 幸雄  南山大学, 経済学部, 准教授 (30313969)

研究分担者 柳瀬 明彦  東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (10322992)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード動学的国際貿易理論 / 内生的出生率 / 国際貿易パターン / 比較優位 / 貿易の利益 / 国際貿易政策
研究概要

これまでの国際貿易理論では,国際貿易パターンに影響を及ぼす要因は,静学理論(ヘクシャー=オリーン・モデル等)においては固定された生産要素賦存比率によって決定されると考えられてきた。また,動学理論においても,人々の投資活動を通じて経済における資本設備が変化することにより生産要素比率が変化するという側面は解明されてきたが,依然として人口・労働力の変化に関する側面は十分に分析されてこなかったのが実情である。本研究課題の1年目ということで,既存の国際貿易理論の流れを整理し,新たな理論構築に向けて,どのような要因が重要であるかを提示することから研究を始めた。また,本研究課題の理論が,現実に対してどれだけの説明力を持っているかについても,併せて検討した。
昨年度モデル構築した論文“Fertility, Mortality, and International Trade Pattern within a Heckscher-Ohlin Framework”では,内生的な出生率/死亡率が活動に影響を及ぼすような構造を持つ2国経済を仮定して,子育てに伴い発生する養育費用や経済発展に伴い変動する死亡率が長期的にこの経済にどのような影響を及ぼすかを分析できるような動学的国際貿易モデルを定式化した。具体的な分析内容としては,長期均衡の存在・一意性・安定性に関する分析を行った後,両国における出生率/死亡率が貿易パターン等にどのような影響を与えるかについて検証した。この論文は,現在,学会発表・学術論文雑誌への投稿準備中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度の研究計画は,「研究期間4年間の計画」を俯瞰し,既存の理論に関する特徴・改善点を整理することが重要な目的のひとつであった。研究分担者と共に,詳細な打ち合わせを行い,新たな理論構築に向けて,どのような要因が重要であるかを検討した。
さらに,考察対象になっていなかった経済における人口構造,あるいはその変化と社会的な生産・国際貿易パターンを結びつけるという意味で,近年構築した経済における出生率の内生化を導入したモデルKarasawa-Ohtashiro and Yanase (2011)に加えて,死亡率も内生化したモデルを構築した。一般的には,少子高齢化の発生は,経済が成熟し技術進歩などにより高齢化が生じるとともに,何らかの理由,例えば養育費の上昇などにより少子化も発生するというメカニズムにより説明される。経済学で用いられているツール・ロジックにより自由貿易下における国際貿易パターンを説明するというのが平成24年度における最も重要な試みであったため,先進国/途上国にそれぞれ見られる人口構造と国際貿易パターンとの関連性を分析した。
上記の内容から,当初の目的をほぼ遂行できたと考えているため,以後,モデルの完成度をより高め,海外の研究論文雑誌に投稿する予定である。

今後の研究の推進方策

平成25年度には,前年度に構築した完全競争市場における国際貿易モデルを用いて,「貿易の利益」という,国際貿易理論における重要な命題について考察する。つまり,モデルの考察対象として,経済厚生を考慮に入れた分析に拡張する。
平成26年度は,国際的な完全競争市場においてある国が貿易政策を実施することにより,各貿易国にどのように影響するかについてまで考察範囲を拡げる。貿易政策としては,通常,輸入関税政策や非関税障壁,また生産補助金の供与などが考えられるが,今回の研究では,例えば政府の子供の養育費用に対する補助金政策(子ども手当)というように一見国際貿易政策とは考えられない政策が国際貿易パターンの変化をもたらし,厚生水準に影響するようなケースを考察することも可能となる。
平成27年度は,それまでの完全競争市場という設定から,不完全競争市場へとモデルを拡張し,貿易の利益・貿易政策の効果についても併せて検討する。

次年度の研究費の使用計画

研究費の使用計画としては,経済学関連図書の購入,シミュレーション分析用・実証分析用ソフトウェアの購入,および国内外で開催される学会発表・参加に使用する予定である。
なお,平成24年度の計画では,シミュレーション分析用ソフトウェアを購入する予定であったが,数値解析よりも優先して理論モデル構築を進めたため,未購入であり残額が生じた。25年度,改めて購入する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 現代経済理論と政策の諸問題2012

    • 著者名/発表者名
      近藤健児
    • 総ページ数
      129-140
    • 出版者
      勁草書房

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公開日: 2014-07-24  

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