研究課題/領域番号 |
24530281
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
林 明信 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (10454547)
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キーワード | 国際航空市場 / 航空ネットワーク / 低費用航空会社(LCC) / 新規参入路線の選択 / 空港の民営化 |
研究概要 |
平成25年度の研究実績として,国際学術専門誌(査読付き)の公刊論文(掲載確定を含む)2点,および学会発表論文2点が挙げられる。 本研究の計画IIに関連した成果として,公刊済みの論文(1)Multi-market Competition, R&D, and Welfare in Oligopolyがある。この論文は,航空市場が代表するような,複数路線市場を運航する主要航空会社と小規模の新規参入企業(LCC)に着目して,非対称的な企業間の研究開発競争による経済効果を明らかにしたものであり,研究計画IIの遂行とともに,発展させてきた研究成果である。本研究の計画IIIにかかわる成果として,掲載確定の論文(2)Airline network competition with new brand subsidiariesがある。この論文は本研究の目的と当初の計画と一致しており,LCC子会社戦略を手段に,主要航空会社のネットワーク競争がどのように展開され,その帰結として社会厚生にどのような効果をもたらすかについて,議論している。また,当初の計画をさらに拡張して,学会報告論文(3)Airport congestion pricing and airline network choicesは,空港の料金設定と航空会社のネットワークの選択について,論文(4)Airport privatization in international inter-hub and spoke networksは,国際的なハブ型ネットワークにおける複数空港の民営化について,分析している。 上記の論文(1)から(4)において,得られた分析の結果をもとにして,航空および空港産業に対する明確な政策提言がされている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の3つの計画は既存大手航空会社の競争戦略と低費用航空会社(LCC)に焦点を当てており、空港の行動については、分析の視野から捨象していた。研究が進むにつれて、航空ネットワークにおけるハブ空港の混雑問題,複数の空港主体の料金設定,空港の民営化なども重要な課題として認識するようになり、空港の側面も分析に取り入れることができたためである。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画をさらに拡張して,研究課題を発展させていく。具体的には,計画IからIIIを拡張して,国際航空ネットワークにおけるハブ空港の混雑問題,複数の空港主体の料金設定,ハブ空港の民営化などの課題も取り入れて、研究を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度において,消耗品費として支出予定の図書を購入しなかったこと,また学会誌の投稿料の一部が無料であったため。 研究計画IIとIIIを拡張して,(1)欧米やアジア太平洋地域における主要航空会社の運航路線(ネットワーク)の再編,(2)新規LCCの参入路線,(3)世界中の主要ハブ空港の滑走路(発着枠)とその拡張の状況,(4)主要空港の商業施設の投資・運営や民営化の進捗状況,などに関連するデータを収集するために,データベースの利用にかかわる費用として使用する。 データを入力・整理するために,作業補助者1名,6時間×15日程度の補助作業を行う予定である。論文を作成する際に,図表の作成,数式の入力,参考文献の整理・入力など,作業補助者1名,8時間×20日程度の補助作業を行う予定である。それらの人件費として支出する。また,研究成果を国内外の研究会・学会で発表する際の旅費・宿泊費に使用する。研究の最終段階において,成果の一部を国際学術専門誌に投稿する際に,英文の校正や論文の投稿に必要な経費として支出する。
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