本研究は、日本とヨーロッパ諸国の水道事業における産業組織論的特徴の比較分析を行うことを目的としている。研究者はイギリス水道事業に関する追加調査および現段階での研究成果に対する意見聴取のため、イギリスのラフバラー大学を訪問しProf David Saalに対しインタビュー調査を行った。さらに、ヨーロッパの水道事業改革を参考にし近年水道事業の民営化・広域化を実践しているオーストラリアの状況を調査するために、グリフィス大学を訪問しProf Andrew Worthingtonに対しインタビュー調査を行った。その後、スペインのナバラ国立大学のProf Pablo Arocenaを招へいし、神戸大学において国際ワークショップを開催した。ワークショップではArocena教授の最近の水道事業における実証的研究の報告、および首都大学東京の朝日ちさと准教授の研究報告とともに、浦上の研究成果の報告を行った。ここでは、水道事業の実務家が多数参加し、また公益事業の研究者も参加し、活発な議論が行われた。さらに、オーストラリアのAndrew Worthingtonを近畿大学に招へいし、研究セミナーを開催するとともに、今回の科学研究費における研究成果に対し、貴重な議論を行うことができた。このほか、ギリシャのアテネで開催された国際学会において研究成果の発表を行い、参加者から貴重なコメントを得ることができた。 以上、本研究プロジェクトは予定通りの研究活動を実施することができたとともに、研究成果は現在取りまとめの最終段階を迎え、今後海外の学術誌に投稿する準備を行っているところである。
|