研究課題/領域番号 |
24530287
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研究機関 | 一般財団法人電力中央研究所 |
研究代表者 |
後藤 美香 一般財団法人電力中央研究所, 社会経済研究所, 上席研究員 (50371208)
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研究分担者 |
大塚 章弘 一般財団法人電力中央研究所, 社会経済研究所, 主任研究員 (90392745)
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キーワード | 生産効率性 / 環境効率性 / 統合効率性 / エネルギー効率 / 投資効率 / 製造業 / 地域別産業 / 国際情報交換(米国) |
研究概要 |
企業や産業の生産構造を分析の対象とし、投入要素から生み出される生産物として、通常の望ましい生産物に加え、環境負荷物質など社会にとって望ましくない生産物の両方を考慮することで、生産効率性と環境効率性を統合した、総合的な経営効率性を計測するための、データ包絡分析(Data Envelopment Analysis: DEA)モデルの開発ならびに機能拡張を実施した。 分析モデルの拡張に関する内容は、投入要素の取り扱いに関するものであり、当該モデルでエネルギー効率の計測や資本設備への投資効率の評価を行うための工夫である。 具体的には、投入要素として、企業や産業のエネルギー使用量や、環境対応資本設備に対する投資額を取り入れたモデルを検討した。すなわち、それらを労働や通常の生産能力拡大のための設備投資等の投入要素とは区別して、企業や産業などが行う生産調整に対し、これらの投入要素に固有の制約を追加した。 また、生産物側の工夫としては、望ましくない生産物である環境負荷物質として、これまで検討してきた温室効果ガスの排出量に加え、新たに廃棄物量や大気汚染物質排出量などのデータも取り入れた分析を行った。 当該モデルを、日本の製造業企業や地域別産業データ等に応用することで、総合的な経営効率性の要素として、エネルギー効率や環境対応資本設備への投資効率を分析し、それらが総合効率性にどの程度の影響を及ぼしているのかを計測した。その結果、特に非製造業において、投資効率の改善余地が大きいことや、特定の製造業企業内および地域別に見た場合にも、一定の改善余地のある企業や地域を特定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
製造業企業や地域別産業データの構築ならびに分析モデルの開発と拡張、その応用実証分析において、いずれもおおむね順調に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
生産効率性と環境効率性の両面を捉える総合的な経営効率性分析モデルを時系列分析に応用するための発展可能性を検討する。そのための一助として、米国ニューメキシコ工科大学の末吉俊幸教授を招へいし、研究を促進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
計算機能拡張のため購入を予定していた計算用ソフトウェアの機能が古いバージョンでも分析目的を達成できることを確認したため購入を延期したことや、予定していた英語論文の校閲を利用しなかったことなどにより、次年度使用額が生じた。ただしこのことによって研究の進捗に問題が生じることはない。 延期した計算用ソフトウェアの更新購入や英語論文の校閲、海外研究者の招へいにかかわる旅費等への支出により使用する予定。
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