1990年代の日本で実現した大型の水平的合併を取り上げて、現実の価格変化と合併シミュレーション分析による価格予想を比較した結果、合併シミュレーション分析は価格の上昇を過大に予測する傾向があることが確認された。また、差別化された財の市場では、合併シミュレーション分析の前提となる市場画定分析において関連市場の境界を画定することが困難であることが確認された。以上の結果から、企業結合規制において合併シミュレーション分析の予想を評価する際には慎重になるべきであり、あくまで通常の市場の競争性分析の補完として用いるべきであると結論付けることができる。
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