研究課題/領域番号 |
24530294
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
寺田 一薫 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (80197798)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 地方分権 / 交通政策 / 交通計画 / 需要応答型輸送 / コミュニティバス / 広域連携 / 一括交付金 / 地方交付税 |
研究概要 |
本研究では、地方分権下の地域公共交通政策のあり方を明らかにしている。そのために、基礎自治体である市町村、ないし広域連携に成功した場合の市町村広域連合の交通政策に関する行動を分析している。分析の中心は、地方政府に対して支払う交付金の包括補助金化ないし一般補助金化が地方政府、とりわけ基礎自治体である市町村の交通政策に関する行動にどのような影響を与えるか、ならびにそのことを踏まえ、財政的分権化の手段として包括補助金と一般補助金のどちらが最適かの解明においた。 具体的には、2007-2010年度まで行われていた特定補助金に近い包括補助金である国土交通省地域公共交通活性化・再生総合事業の下で、市町村が新たに行った交通施策について、2011年度以後の事業終了後を含めて、全国的な趨勢を調査した。 また、2009年度からの限りなく一般補助金に近い包括補助金としての総務省定住自立圏制度の交通政策への影響を、地域圏の交通政策策定に大きな権限を持っていると思われる中心市に注目して調査した。 現状で全国の半数の市町村が単独で運営するコミュニティバスだけでは地域住民のモビリティを確保できず、そもそも限られたモビリティを確保する方法としても費用効率的でないという観点から、広域的な需要応答型輸送(DRT; Demand Responsive Transport)等導入によるモビリティ確保の可能性について、英国を中心とした文献の調査、ならびに利用者確保実績等から参考になると考えられる国内事例の現地実態調査を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特定補助金あるいは一般補助金に近い包括補助金が交通政策に与える影響に関する文献調査、広域連携の可能性と課題に関する分析、市町村間連携の可能性と課題に関する文献調査はほぼ完了した。 モビリティ、アクセシビリティの理念や定量化に関する文献調査に関しては、英国関連文献を中心に50点程度を完了し、一部の基本的文献については全訳作業を行った。英国の地方交通計画(Local Transport Plans)、とくに本研究に関連が深い第2期LTPの内容について、文献調査の一部を開始した。 コミュニティバスに代わる新たな交通手段の実態に関する調査としては、交通政策の特色が端的に表れる需要応答型輸送(DRT)に関するものから開始した。そして、調査対象地域のうち、長野県飯田市の竜東線に関する調査を行うとともに、当該路線の輸送実績・収支等の情報収集を行い、その結果を資料にまとめた。 インフラ分野を含めた他の交通に関する調査では、国内の港湾に関する文献調査を一部完了した。
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今後の研究の推進方策 |
モビリティ、アクセシビリティに関する文献調査を、英国以外の海外諸国(アメリカ合衆国、カナダ、オーストラリア、フランス、ドイツ、オランダ等)に対象を広げて実施する。対象は、図書20点程度、学術論文15点程度を予定している。 平成24年度に実施できなかった現地調査対象個所を含め、国土交通省地域公共交通活性化・再生総合事業および後継制度、ならびに総務省定住自立圏制度の交通政策への影響、とりわけそれらのスキーム下での需要応答型輸送(DRT)導入の財政的な影響を調査する。そのうえで、平成24年度の文献調査結果と関連付けた解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
・海外の運輸政策、アクセシビリティ関係政策に関する図書20冊程度を購入する。 ・資料整理に必要な、文具等の消耗品を購入する。 ・本年度未実施の国内調査(日向市、彦根市)を含め、研究代表者による現地調査を5回実施する。
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