研究実績の概要 |
本研究では,教育機関としての大学に焦点をあて,高等教育の供給者(大学)と需要者(個人)の間にある情報の非対称性に着目して,最適な高等教育政策の分析を行った.ここでの情報の非対称性とは,大学が備えている研究・教育の質や様々な特性に関する情報のうち,供給者が需要者の獲得に有効と考えて発信する情報と,需要者が大学を選択するときに重視する大学の情報に違いがある状態を示す.教育経済学の分野では,Eckstein and Zilcha (1994, Journal of Public Economics) のように,教育の非効率性は教育の外部効果に求められることが多い.本研究では,上記の供給者と需要者との間に存在する情報の非対称性によって大学教育に非効率が生じることを示し,最適政策を分析した。具体的には,供給者が発信する情報と需要者に意思決定に影響した情報に関するデータベースを作成して差異を検証し,理論モデルを構築した上で最適な高等教育政策を検討した。
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