研究実績の概要 |
・「Political Regime Change and Cultural Transmission of Secularism」において、内生的なCultural Transmissionのモデルを用い、世俗主義的な選好のCultural Transmissionと政治体制の変化の関係を分析する。 経済主体には、世俗的自由をポジティブに評価する世俗的個人と、ネガティブに評価する宗教的個人が存在する。宗教的個人が多数派で、世俗的自由が抑圧されているケースでは、世俗的個人による独裁的権力への抵抗度が小さくなるので、政治体制が民主主義から独裁へ移行しやすくなる。また、宗教的個人が多数派の場合に宗教的個人の比率拡大が進むケースを想定すると、民主主義下での反世俗化と、独裁下での世俗化とのサイクルが発生する可能性が示される。本モデルでは、安定的な世俗的民主主義が実現する場合には、一定期間の世俗的独裁の期間を経る必要があり、そのような権力が脆弱な場合には、非世俗的社会での独裁と民主主義のサイクルに発生しやすいことを示す。(国際誌に投稿予定) ・Peseth Seng氏との共同論文を発展させ、Cultural Transmissionのモデルを用いて、社会資本と企業の生産モードの相互発展の分析を行った。何らかの要因によって、一時的に、伝統的な生産モードの生産性が上昇した場合(資源ブームなど)、近代的な生産モードと親和的な社会資本の形成が阻害され、これが、経済発展の罠の原因となることが示される。本論文は、「Social Capital, Resource Boom and Underdevelopment Traps」として海外出版物での掲載が決定している。
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