本研究では、まず東アジア経済の収斂過程について分析を行った。パネル単位根検定などを用いて実証分析を行った結果、急速な経済成長を遂げてきた中国や経済低迷の時期が続いたフィリピンを除く東アジア地域において所得レベルのデータで収斂過程がみられた。 なお、生産要素移動に関連して、事例として中国の労働移動の問題に焦点をあてて実証分析を試みた。中国の労働移動については2002年に中国社会科学院が行った世帯所得調査プロジェクトの調査データを用いてプロビット・モデル分析を行った結果、農村部から都市部への労働移動の発生確率を高める属性として労働者の年齢や教育水準が低いことが上げられた。
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