研究課題/領域番号 |
24530307
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
飯星 博邦 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 教授 (90381441)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 経済政策 / 経済統計学 / マクロ計量経済モデル / DSGEモデル / ベイズ統計(MCMC) |
研究概要 |
平成24年度の研究実績として、プロトタイプ・モデルの開発を行った。(現在もプロジェクトは進行中である。) まず、プロトタイプ のモデルとして、開発・黒住(2010,日銀DP)が開発した金融銀行部門を持ったDSGEモデルのデータリッチ化を行った。さらに、米国経済を対象とした金融部門を企業-銀行、銀行-預金者という2部門に細分化したDSGEモデルのデータリッチ化も行った。 これら2つののモデルはSmets& Wouters (2003,2007)をベースとし銀行部門として企業-銀行間のAgency Costモデル(Bernanke,Gertler,Gilchrist,1999)を導入したものである。前者のモデルは、さらに階差データを使いDSGEモデル内部で、成長因子と景気循環因子に分離しGDPギャップを推定している。 これら2つの銀行部門をもつDSGEモデルについて、従来からの構造ショックの仮定である「固定化したボラティリティ」を意味するiidのショックから、時間的に可変する確率的ボラティリティモデル(stochastic volatility model)への拡張を行い、後者の米国経済については2008年に起きたリーマンショック時の景気循環の推定を行った。さらにマクロ経済の構造ショックの推定値から各構造ショックがリーマンショック時にGDPやインフレなどのマクロ経済変数に及ぼした寄与度分析を行った。 これら2つのモデルについて、後者の米国経済のDSGEモデルの推定結果については論文としてまとめ、さらに学会報告を行った。前者の日本経済のDSGEモデルについては 現在プログラムについて開発中であり、推定結果が終わり次第、論文としてまとめる予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
DSGEモデルが大規模であり、データリッチ化によりデータも大規模となり、これらのプログラム作成および推定には多大な労力を要するため、日本経済のプロトタイプモデルの開発について今年度中も引き続き実施する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度以降の計画として、モデルの拡張をおこなう。 具体的には、フェーズ1の拡張として、データ数を50系列から100~200系列に拡張する。 フェーズ2の見直しによりモデルの大型化を図る。 具体的には 開国開放モデル、金融セクター(預金者と銀行)、財政政策ルールの導入 する。 フェーズ3として、 Liu, Waggoner, Zha(2011)に従いDSGEモデルのインフレターゲットや構造ショックの分散値のレジームスイッチの推定を行う。彼らによるとレジームスイッチを取り入れることで景気変動の源泉が異なることが指摘されている。これを日本データで検証してみる。また、「周辺尤度」の計算法についても効率性の上がる手法の検証を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
(1) 今年度に予定していた学会参加のための旅費については、来年度の国際学会参加の為の旅費へ持ち越すこととする。 (2) 次年度の研究計画に基づき、研究費は、国内および国際学会への参加のための旅費、パソコンの統計・数理計算用ソフトウェアの購入、図書購入費など充当する予定である。
|