ICTを伴う国際貿易(2国モデル)と経済成長のモデルを基に、ICTの進展が経済格差を生み出すプロセスに関して分析・検討した。以下にその結果を示す。 (1)国際貿易に関し、ICTの進展は両国間の熟練労働者の賃金比を上昇させ、未熟練労働の賃金比を低下させる。またそれは大国内の所得格差を拡大させ、小国内のそれを縮小させる。(2)ICT財生産を伴う2部門モデルでは、ICT財生産に投入されるICT資本財の集約度が増加する際、集約度に関してある大小関係が成立すれば、経済成長率は増加する。経済政策として重要なのは上記ICT資本財の集約度を高めることで、ICT集約度の差異が経済格差に影響を与えることになる。
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