研究課題/領域番号 |
24530310
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
白石 麻保 北九州市立大学, 外国語学部, 准教授 (40425004)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 経済政策 / 開発途上国 / 制度変化 / 中国 |
研究概要 |
本研究は、中国現代経済史に対する明確な理論的枠組に基づく数量経済史的アプローチを試みるものである。具体的には計画経済期を含む中国経済における商取引に注目し、その形態とそれを取り巻く環境、そしてそれらが経済発展全体に対して与えた影響についての実証的解明を行う。具体的には、計画経済下における経済主体の特に計画外での行動が持つ市場経済的様相の有無、及びその様相の強さの程度と後の市場経済化及び経済発展との関係について実証的解明を試みる。 本年度は、主として中国計画経済時代における経済主体の行動の実態把握のために、現地調査を行った。またこれと同時並行で現地資料及びデータの収集を行った。 現地調査においては、当時の経験者に対して状況に関してヒアリングを行った。また、当時を知る有識者との意見交換等を通じて一次資料を作成していった。 同時並行で行われた資料収集によって収集された文献資料と、及びヒアリング調査結果をまとめることによって、当時の状況についての質的把握を行った。これらを踏まえながら、後の実証分析に必要な理論的枠組みの設定を行うための先行研究のサーベイを行った。同時に、実証分析に使用するデータの整備を通じて後の実証分析のための準備作業も開始した。 これらの作業の一部は段階的成果としてまとめられ、学会報告等を通じて他の研究者と意見交換を行った。また、この段階的成果の一部を取り入れながら論文としてまとめられ投稿準備中のものもある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒアリング調査、現地での資料収集は当初の計画通りではないが、いくつかの予備案の実行を取り入れていくことで、これまでにも段階的に成果が得られ、当初計画が目的としている中国計画経済期の個別経済主体の質的状況の把握やその特徴付けが可能となっている。そしてその一部は段階的成果として公表する準備も可能となっている。 また、今後の実証分析に使用するデータも少しずつではあるが整備されてきており、後の実証分析のための準備はできてきている。 但し、現地における資料収集、データ収集、ヒアリングの進捗状況は当初計画の通りには進んでおらず、遅れ気味である。そして上記以外の計画はおおむね順調に進んでいることから、「研究の目的の達成度」について「(2)おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
当初記載した研究目的を変更する必要はなく、データ収集、ヒアリング、資料収集等を継続して行っていくという、当初計画の遅れを出来るだけ取り戻しつつ、分析を進めていくことで計画推進が可能であると考えられる。 今後は、今年度収集されたデータやヒアリング調査の結果に基づいてそれらが可能となる経済主体の質的・量的把握を通じて得られる知見をもとに、実証モデルの設計を行い、一部については実証分析に取り掛かる。
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次年度の研究費の使用計画 |
まず、計画内、計画外における企業間取引実態の質的把握、及び信用取引を含む計画経済期経済主体の計画外行動の量的把握を行う。ここでは補充調査の成果も含めてその完成を目指す。 次に、上述の成果も反映させつつ、前年度から開始予定の実証モデルの設計に本格的に着手する。具体的には現在その設定を進めている理論的枠組みに基づいて実証モデルを設計する。その際には、ヒアリング調査や資料収集、データ収集で把握可能となった当時の中国現地の質的状況を十分に考慮したモデルの構築を試みる。そして収集された複数のマイクロデータを用いて推定する。ここで、上述の分析により得られた分析結果によっては、実証モデルに使用される各変数に対する再考を行う。 また、推定結果の妥当性を質的側面から検討するため、推定結果が得られた後も、その結果をもとにした現地ヒアリングを実施し、同時にデータ収集、現地調査を行う。
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