研究課題
計画経済期から改革開放初期にかけての幾つかの時期区分の中で、市場経済化、経済発展と計画経済期における企業行動の市場経済的様相の強さの関係解明をおこなうことによって、どのような局面で経済主体間での信用取引をはじめとする主体的行動が採用される傾向があるのかを、次のステップを経て考察した。まず、企業がどのような局面で主体的行動を採る動機づけを持つのかを、原材料調達、資金調達、雇用の面に関する企業行動、及び企業に関連する制度や政策の内容及びその計画経済期における変遷を、文献資料から把握した。そして、その制度や政策の内容変化と企業の生産性や地域経済発展との関連を考察するために、企業の業績と資金、雇用、賃金等を変数に取り入れた実証モデルの設計を行った。次に、推定結果の妥当性を質的側面から検討するため、得られた推定結果を考慮した内容の現地ヒアリングを行い、実証モデルの改良をおこなった。これらの作業を経て、経済主体の主体的行動が当時においてもみられたのか否かを、先行研究より理論的フレームワークを改良し、そこから導出された実証モデルの推定を行った。実証モデルは時期、企業の設立年数、生産要素の多寡等を考慮した幾つかのパターンのものを推定した。以上の分析を経て、企業は計画経済期に特に生産要素調達が困難な局面において、市場経済下でのそれとは異なるものの、企業を管理・監督する政府の指令に必ずしも基づかず、自らの裁量で主体的行動を採っていたことが示された。つまり、計画経済システム下にあっても生産要素(資源)不足等の結果、個別企業レベルでは主体的行動を採らざるを得ない局面があり、結果としてそれが企業の効率性改善につながっていた可能性が示された。
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Emerging Markets Finance & Trade
巻: Vol. 50, Supplement 2 ページ: 114 134