研究課題/領域番号 |
24530313
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
加藤 篤史 青山学院大学, 経営学部, 教授 (00286923)
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キーワード | 政治的競争 / 政治的サバイバル / 産業化政策 / 経済発展 / インド |
研究概要 |
平成25年度は推計のためのデータベースの一層の充実と、理論仮説の検証のための推計を広範に実施した。 データベースの充実化のために、中心となる政治的な変数を当初想定していたFractionalization Indexだけでなく、Polarization IndexやEffective Number of Political Parties などの新しい説明変数を加え、さらには州議会における議席数だけではなく、州議会選挙での各政党が獲得した票数に基づいた指標も作成した。政治的変数の他にも従属変数に影響を与えうる社会的変数(例えば、宗教の分布や言語の分布、所得分配の不平等度や貧困率など)や経済的変数(例えば、Fiscal Spaceなど)についても大幅に拡張し、推計の信頼性を高めることができるようになった。 広範な推計を行い、すでに多数の興味深い結果も得ることができた。これまでのところおおむね理論仮説と整合的な結果を得ている。具体的には、産業部門の政治的影響力が高まるにつれて、州政府はPro Businessな政策を採用するようになる傾向が推計結果によって示されている。また、Fractionalization IndexよりもPolarization Indexの方が、政策への効果が大きい傾向が推計結果から読み取れる。一方で、予測に反する推計結果も現れており、そのような場合には当初の理論仮説に関して新しい視点を加えることができ、理論の精緻化が可能になっている。 推計結果の一部はすでに論文としてほぼ完成している。平成26年6月から様々な研究会で発表を開始し、専門家からのフィードバックを得ながら、さらに論文の質を高めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
推計のために必要だと考えられるデータベースはほぼ完成しており、現存するデータを考慮すると、データベースのより一層の拡充は困難であると思われる。後は、推計方法をより精緻化することで推計結果の精緻化を進めることができると思われる。その方向で今年度より一層研究成果の信頼性を高めていけると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
データを用いた推計結果がかなり出そろってきたので、今後は複数の論文に成果をまとめるとともに、国内外で論文の発表を活発に行い、専門家のフィードバックを得ながら、理論仮説の修正と推計のさらなる精緻化を進める。また、論文の解釈にかかわる事実関係の確認のために、インドのいくつかの州で研究者や政府関係者などにヒアリングを行う。平成26年度はこのようなヒアリングに多くの時間と予算を使う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は現地調査を見送り、国内でのデータベースの充実と理論仮説の精緻化に多くの時間を割くことにしたため、国外出張に充てる予定であった金額分が残ったため。 平成26年度は国内外の研究会で論文の発表を行うとともに、推計結果の解釈に関する事実確認のためのヒアリングをインドで複数回行う予定であり、そのために旅費を多く使う計画である。また、平成25年度から利用をしているデータベースは単年度契約であるため、平成26年度も引き続き継続利用するとともに、新しいデータの購入も予定している。平成26年度後半から特別研究期間に入るため、平成26年度後半に現地調査と論文発表が偏って支出される予定である。
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