最終年度には政治的競争が政策の選択に与える効果について、電気と道路のインフラストラクチュアの整備に関わる政策に焦点を絞って研究を行った。8月にはインドの首都デリーとパンジャブ州都チャンディガールで、電力公社や電力規制員会などで詳細なヒアリングを行い、関連する情報の収集に努めた。また、日本国内では関係する論文や本などを調べ、理論モデルの精緻化や実証研究の再検討を行った。その結果、これまで見落としていた視点を確認することができ、研究を深めることができた。これにより、昨年度までの研究よりも政策の決定において働く要因の詳細なメカニズムを検討するためのモデル分析を行うことができるようになり、実証研究でとるべき推計モデルについても精緻化できた。 この結果、インドの各州で政治的な影響力を行使する集団の特徴によって、州政府の政策に与えることのできる影響力が異なることが明らかになった。また既存の政治的な制度のあり方によって、政策の決定に影響力を行使しようとする集団間の相互作用が異なることが明らかとなり、今後はこの方向でも研究を進めていく必要性が認識された。 今後は電気に関連する政策の決定に関する研究を一層深めていくとともに、この政策の研究で有益であることが確認された分析の枠組みを、道路の政策の決定についても応用していき、政策の特徴の違いによって、政策決定のメカニズムがどのような影響を受けるかについても研究の課題としていきたい。 現在までのところ、研究成果は国際的な学術雑誌の掲載には至っていないが、現在投稿中であり、近い将来学術雑誌にアクセプトされることを目指している。
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