研究課題/領域番号 |
24530316
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
矢野 浩一 駒澤大学, 経済学部, 准教授 (50584497)
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研究分担者 |
飯田 泰之 駒澤大学, 経済学部, 准教授 (80365535)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 経済政策 / 動学的確率的一般均衡 / ゼロ金利制約 / 非伝統的金融政策 |
研究概要 |
本研究プロジェクトでは、「大規模ショック」 を日本経済に対する外生的ショックと捉え、ゼロ金利制約を考慮に入れた動学的確率的一般均衡(以下、DSGE)を用いて1.それらのショックを組み込んだDSGEモデルの開発とその推定手法開発、2.各国の経済政策の効果を理論的・実証的側面から分析するためのデータ蓄積と定型化された事実の検証を行なっている。平成24年度は本研究プロジェクトの1年目であるため、矢野と飯田は並行して研究を進めた。 1.のため、矢野はキプロスで開催された20th International Conference on COMPUTATIONAL STATISTICSで粒子フィルターと時変係数を用いたDSGE推定手法の研究発表を行った。また、ゼロ金利制約を考慮したDSGEモデルのシミュレーション手法をSocial Science Research Networkのディスカッション・ペーパー「Zero lower bounds and a Stackelberg problem」として発表した。さらに矢野(2013)で中央銀行がゼロ金利制約に抵触した場合に、合理的期待形成と政策レジーム・チェンジが重要になることを解説した。 2.のため、飯田は飯田(2013)で1990年代以降の日本において財政政策の効果が低減した原因について探求した。その中でデータ分析を通じて、公共事業が増大すると民間の建設事業が減少するという経路での供給制約仮説を提案し、財政政策の効果を考察した。このことを通じて定型化された事実がある程度特定化された。 2013年度は、上記の1.と2.の研究を融合し、これまでの手法をさらに発展させ、さらに成果をまとめて研究会・学会等で発表し、フィードバックを受けてさらなる改良につなげる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
矢野が担当するモデル開発では、我々の先行研究を踏まえて外生的大規模ショックを明示的に組み込んだDSGEモデルの開発を行う予定であったが、非ガウス分布の取り扱いが(ガウス分布と比較して)少し難しく、2012年度の計画がやや遅れている。しかし、モデル開発部分が解決すれば、推定手法で用いる粒子フィルターが原理的には非ガウス分布の扱いに問題がないため、モデル開発におけるテクニカルな問題を解決すれば、遅れは取り戻せる予定である。 次に飯田が担当する日本ならびに各国のデータ収拾と定型化された事実の特定については、現在、日本においてはデータ収拾が進んでいるが、特に財政政策分析の基礎となる国民経済計算の確報が改訂され、遡及系列の推定期間が1980年以降と短いため、十分に長い時系列を得ることが難しいという問題があり、やや遅れている。このため、確実にデータが得られる1980年以降の分析に集中するか、もしくは旧基準を新基準に接続するかを検討している。いずれにしてもこの問題が解決されれば、遅れて取り戻せると見込んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
矢野が担当する推定手法については平成24年度に順調に進捗したが、大規模ショックを考慮に入れたモデル開発についてはやや開発が遅れているため、その点に留意しながら、遅れを取り戻すべく研究を継続する。モデル開発と並行して、推定手法をより効率的に実行可能にするため、プログラムの改良を行い、予定通り平成25年度中には日本経済データを用いた推定に入る予定である。 また、飯田が担当するデータ収拾と定型化された事実の特定・検証についても遅れを取り戻し、矢野と協力し、日本経済データの推定に入っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
2012年度に適切な購入物品が見つからず、次年度使用額が3051円となってしまった。翌年度には次年度使用額と合わせ110万3051円のうち矢野が担当する「研究課題の推定手法ならびにプログラムの開発」に60万3051円を使用し、飯田が担当する日本・各国データ収集ならびに政策動向の調査に50万円を使用する。 詳細は矢野がプログラム開発用パソコンに15万円、海外出張に25万円、国内出張に5万円、書籍代に15万円、消耗品に3015円を研究費として使用し、飯田が海外出張に25万、国内出張に5万、図書代に20万円を研究費として使用する予定である。
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