研究課題/領域番号 |
24530316
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
矢野 浩一 駒澤大学, 経済学部, 准教授 (50584497)
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研究分担者 |
飯田 泰之 明治大学, 政治経済学部, 准教授 (80365535)
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キーワード | ゼロ金利制約 / デフレーション / レジーム・チェンジ / インフレ期待 / 自然選択 |
研究概要 |
研究実施計画に基づき矢野浩一(駒澤大学)は、粒子フィルタを用いた動学的確率的一般均衡モデルの推定手法を研究し、その結果を「粒子フィルタと動学的マクロ経済学:実物景気変動モデルへの応用」にまとめ、日本統計学会誌(和文)に投稿し、査読の結果、掲載が決定した。 また、矢野は岡田多恵(大東文化大学)と協力し、経済に対する大規模ショックが経済に与える影響を分析するため、進化論における自然選択の考え方を内生的経済成長理論に導入し、論文"Natural Selection Types and Firm Diversity:An Evolutionary Extension of Endogenous Growth Theory"を執筆した。その成果を欧州経済学会(29th Annual Congress of the European Economic Association)に応募し、2014年8月のトゥールーズ経済大学での研究発表として採択された。 さらに、矢野と飯田は片岡剛士(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)・岡田多恵と協力し、「射影手法(Projection method)」を用いて「ゼロ金利制約下における期待実質金利とインフレ期待」の測定を行い、アベノミクスがどのようにデフレ脱却に役立ったかを分析し、その成果を論文としてまとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
矢野はゼロ金利制約下の動学的確率的一般均衡モデルのシミュレーションについて研究し、"Zero Lower Bounds and a Stackelberg Problem: Stochastic Analysis of Unconventional Monetary Policy"として2013年9月にプラハで開催されたMacroeconomics & Finance Conferenceで発表を行った。この研究内容は論文にまとめ、現在投稿準備中である。また、同時に矢野は粒子フィルタを用いた動学的確率的一般均衡モデルの推定手法を開発し、その成果を「粒子フィルタと動学的マクロ経済学:実物景気変動モデルへの応用」をまとめ、論文が日本統計学会誌(和文誌)に採択が決定するなど成果を上げている。ただし、プログラム開発がやや遅れており、動学的確率的一般均衡モデルの推定を完全に行うに至っていない。 大規模ショックが経済構造に与える影響を「自然選択」という進化論の概念を内生的経済成長理論に導入し探求する矢野と岡田多恵による研究は、基本的なモデル構築が終わり、論文を執筆し、2014年6月の日本経済学会、2014年8月の29th Annual Congress of the European Economic Association(EEA-ESEM 2014、Toulouse School of Economics)での研究発表が採択されている。 また、矢野と飯田による「政策分析に関する提言」は、片岡剛士(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)・岡田多恵(大東文化大学)の協力を得て、「ゼロ金利制約下の期待実質金利・インフレ期待推定」と「アベノミクスの期待実質金利・インフレ期待への影響」という側面から研究が進んでいるが、「提言をまとめる」段階に至ったおらず、やや遅れ気味である。
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今後の研究の推進方策 |
矢野は日本統計学会誌(和文誌)に採択された研究成果をさらに発展させ、動学的確率的一般均衡モデルの推定が行えるようにプログラム開発を促進させる。 また、矢野は岡田多恵(大東文化大学)と協力し、2014年6月に日本経済学会、2014年8月のEEA-ESEM 2014での研究発表の準備を進め、コメントを受けて論文を改訂し学術誌に投稿する。 さらに矢野・飯田は岡田(大東文化大学)・片岡(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)と協力し、アベノミクスが経済に与えた影響についてさらに研究を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額(30,609円)が生じた理由は、既述の通り研究がやや遅れ気味であり、年度末に至っても適切な支出項目が確定しなかったため、無理に支出するよりも次年度に支出するほうが適切であると判断したため。 平成26年度が、本研究の最終年度であるため、次年度使用額(30,609円)は研究成果をまとまるための印刷代・用紙代に支出する予定である。
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