金融ネットワークに基づく金融システムの安定性を図るマクロ・プルーデンス政策について,非伝統的金融政策に取り組む中央銀行は,金融危機の伝播によるシステミック・リスクの顕在化を抑止するため,試行錯誤を繰り返してきた.本研究は,期待に働きかける効果及び投資家のリスクテイクを促す効果から見て,中央銀行は何を買うべきかに焦点を当て,日米の非伝統的金融政策を事例とし実証的に分析した.その結果,金融機関の資金流動性ではなく,金融資産の市場流動性を高めるべく,信用スプレッドの低下に働きかける資産購入の有効性が示された.金融市場のもつリスク・シェアリング機能を促すマクロ・プルーデンス政策が中央銀行に求められる.
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