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2012 年度 実施状況報告書

家庭ごみ有料化のごみ処理経費削減効果分析

研究課題

研究課題/領域番号 24530319
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東洋大学

研究代表者

山谷 修作  東洋大学, 経済学部, 教授 (00105024)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードごみ有料化 / ゼロウェイスト / ごみ処理経費削減効果
研究概要

ごみ減量化の政策効果を分析した。その内容は、大きく2つに分けられる。1つは、家庭ごみ有料化による経費削減効果の分析、もう1つは、世界的に注目されているごみ減量の思想・取り組みとしてのゼロウェイスト戦略の研究である。
前者の研究テーマについては、年度当初に回答が出そろった第4回全国都市家庭ごみ有料化調査の集計分析をした結果、次の知見が得られた。収集運搬部門については、有料化実施と同時に新たな資源品目の分別収集・資源化を併用実施する場合には、それに伴う経費増により、有料化によるごみ減量に伴う経費減があっても、全体として経費純増となるケースが多い。収集経費を削減する取り組みとして、民間への収集委託化、委託競争入札の導入が先進的自治体(仙台市、足利市など)で実施され、かなり大きな経費削減効果が実現されている。中間処理部門については、複数の清掃工場を有する規模の大きな都市(札幌市、京都市、八王子市など)において、有料化によるごみ減量に伴い、老朽化した施設の更新を不要化することにより、200~400億円程度の巨額な経費削減効果が得られていた。最終処分部門については、最終処分場を区域内に保有しない自治体(上越市など)において、有料化に伴うごみ減量がストレートに運搬費・処分料の削減に結びつくことを確認した。以上のような知見に基づいて、また経費節減に先進的に取り組む自治体での聞き取り調査により得られた知見をも活用して、専門誌『月刊廃棄物』9月号から毎月、「ポスト有料化のごみ政策」と題して論文掲載を行った。
ゼロウェイスト戦略に関しては、ゼロウェイストの取り組みを廃棄物政策に適用するカリフォルニアの州政府、サンフランシスコ市、サンノゼ市、それを業務として実践する廃棄物処理業者、ゼロウェイストを唱導するNPO組織などと意見交換し、その理念と実践について認識と知見を深め、論文作成に結び付けた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

全国の家庭ごみ有料化都市に対するアンケート調査結果に基づき、また回答結果の分析に基づくごみ減量効果や経費削減効果の大きな都市へのヒアリング調査で得られた知見に基づいて、これまで知られることのなかった「家庭ごみ有料化によるごみ減量に伴うごみ処理部門別の経費削減効果」に関して、初めて全国的な規模で経済分析の光を当てることができた。そこで得られた知見の概要については、上記「研究実績の概要」で述べたとおりである。
もう一つの研究課題である「ゼロウェイスト戦略」の理念や実践については、日本でも徳島県や熊本県の一部自治体がゼロウェイスト宣言を議会採択したことを通じ、一部廃棄物専門家の間で多少知られるようになってはきたが、まだ一般市民の人口に膾炙されるまでには至っていない。その理念と具体的な戦略、それに基づく実践の成果について、今回のカリフォルニア調査を通じて詳細に把握することができた。そこで得られた知見に関しては、2本の論文発表、月刊専門誌への連載、数件の講演発表をしたところであり、その思想と戦略のプロセスについて、地方自治体担当者や地域住民の間への普及啓発に取り組んだ。
以上のことから、初年度については、当調査研究の目的はおおむね達成されたと考えている。

今後の研究の推進方策

家庭ごみ有料化によるごみ減量に伴うごみ処理経費削減効果分析については、全国都市アンケートを通じた全国的な効果分析と、収集運搬部門の経費削減に関する先駆的取り組み事例の調査を平成24年度に実施し、成果をまとめることができた。25年度においては、引き続き収集運搬部門の効率化について、東京23区の戸別収集導入の取り組みや収集運搬請負契約の見直し・適正化の研究・政策提言、民間委託や競争導入と対置される自治体直営収集業務による指導・啓発・高齢者支援等の評価、中間処理部門についての老朽化清掃工場の更新不要化による経費削減効果、民間の資金や技術の活用による清掃工場整備・運営(PFI導入)から得られるバリュー・フォー・マネーの検証、などに取り組むことを予定している。
もう1つの研究テーマであるゼロウェイスト戦略研究については、相手先の受け入れ可能性にもよるが、オーストラリアやニュージーランドの自治体や住民によるゼロウェイストへの挑戦について、現地で調査する機会を得たいと考えている。

次年度の研究費の使用計画

相手先の受け入れ可能性にもよるが、機会が得られれば、オーストラリアやニュージーランドでゼロウェイストに取り組む先進的自治体やNPOを訪問し、聞き取り調査やリサイクル施設の見学を実施したいと考えている。また、国内でゼロウェイスト宣言をした徳島県の自治体や熊本県の自治体を訪問して聞き取り調査や資源化施設の見学をすることを予定している。
調査で得られたデータの処理・加工作業については、一部外部の専門業者に委託することを予定している。
国内・海外調査旅費 50万円
作業委託費 10万円

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (9件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 有料化でごみ処理費用を減らせるか(その3):総合収支と経費節減の工夫、収集運営形態の選択2013

    • 著者名/発表者名
      山谷修作
    • 雑誌名

      月刊廃棄物

      巻: 39-1 ページ: 26-29

  • [雑誌論文] 収集効率化に先鞭を付けた仙台市の取り組み2013

    • 著者名/発表者名
      山谷修作
    • 雑誌名

      月刊廃棄物

      巻: 39-2 ページ: 34-37

  • [雑誌論文] 市民目線で収集業務の改善に取り組む京都市2013

    • 著者名/発表者名
      山谷修作
    • 雑誌名

      月刊廃棄物

      巻: 39-3 ページ: 26-29

  • [雑誌論文] 家庭ごみ有料化における減免措置に関する実態調査2012

    • 著者名/発表者名
      山谷修作
    • 雑誌名

      第23回廃棄物資源循環学会研究発表会講演論文集

      巻: CD-ROM ページ: 2pp

  • [雑誌論文] 家庭ごみ有料化の現状分析2012

    • 著者名/発表者名
      山谷修作
    • 雑誌名

      月刊廃棄物

      巻: 38-9 ページ: 30-33

  • [雑誌論文] 2000年度以降に有料化を導入した市のごみ減量効果2012

    • 著者名/発表者名
      山谷修作
    • 雑誌名

      月刊廃棄物

      巻: 38-10 ページ: 24-27

  • [雑誌論文] 有料化でごみ処理費用を減らせるか(その1):市民1人当たりごみ処理経費・収集運搬費2012

    • 著者名/発表者名
      山谷修作
    • 雑誌名

      月刊廃棄物

      巻: 38-11 ページ: 24-27

  • [雑誌論文] 有料化でごみ処理費用を減らせるか(その2):再資源化費・中間処理費・最終処分費2012

    • 著者名/発表者名
      山谷修作
    • 雑誌名

      月刊廃棄物

      巻: 38-12 ページ: 20-23

  • [雑誌論文] サンフランシスコにおけるゼロウェイストへの挑戦2012

    • 著者名/発表者名
      山谷修作
    • 雑誌名

      東洋大学経済論集

      巻: 38-1 ページ: 93-105

  • [学会発表] ごみ収集をどう効率化するか2013

    • 著者名/発表者名
      山谷修作
    • 学会等名
      第63回公益事業学会大会
    • 発表場所
      福岡大学
    • 年月日
      20130615-20130616
  • [学会発表] 家庭ごみ有料化における減免措置に関する実態調査2012

    • 著者名/発表者名
      山谷修作
    • 学会等名
      第23回廃棄物資源循環学会研究発表会
    • 発表場所
      仙台国際センター
    • 年月日
      20121022-20121024
  • [学会発表] 家庭ごみ有料化の経費削減効果分析

    • 著者名/発表者名
      山谷修作
    • 学会等名
      公益事業学会2012年度第1回関東部会
    • 発表場所
      電力中央研究所
  • [図書] エコロジーをデザインする2013

    • 著者名/発表者名
      山谷修作
    • 総ページ数
      212頁-234頁
    • 出版者
      春秋社

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公開日: 2014-07-24  

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