研究課題/領域番号 |
24530323
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
清水 政行 琉球大学, 法文学部, 講師 (60546133)
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キーワード | 環境効率性 / 経済発展 / 転換点 |
研究概要 |
平成25年度においては、台湾および韓国を中心に環境効率性と経済発展に関する実証分析を行う予定であったが、中国の環境パフォーマンスと経済発展に関する実証分析をより詳細に進めていくように研究計画を変更したため、台湾および韓国に関する研究は26年度以降に実施することとした。 平成25年度に実施した研究としてはまず、中国の経済発展における農業と工業の間の関係性について実証分析を行った。具体的には、第一に農業部門の地域別パネルデータを利用して生産関数を推定し、過剰労働力を推計することによって、中国経済が転換点を超えたか否かを検証した。また第二に、上述の研究に関連して、産業別の時系列データを利用して成長会計分析を行い、転換点への移行期において産業構造の変化が経済成長に対してどの程度影響を与えたかを検証した。この2つの研究によって中国の経済発展段階を明確にし、工業化がどの程度進行しているかを明らかにした。 他方で、中国の環境パフォーマンスについては、エネルギー・バランス表を利用して環境汚染物質の排出動向について実証分析を行った。具体的には、第一に部門別・産業別・地域別のSOX、NOX、CO2の排出量を推計することによって、1980~2000年代における中国の環境問題の状況を詳細に検証した。また第二に、上述の研究に関連して、1990~2000年代の中国において環境クズネッツ曲線仮説が成立するか否かを地域別パネルデータを利用して推定し、将来的に中国の環境がどのような状況になるかを検証した。 平成26年度では、25年度に引き続き、中国の環境パフォーマンスと経済発展に関する実証分析を進めていく。具体的な計画としては、農業部門と工業部門における環境効率性をそれぞれ詳細に分析し、中国の経済発展の持続可能性について検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画を変更し、中国の環境パフォーマンスと経済発展に関する実証分析を中心に進めていくことにしたため、中国を対象とした環境効率性に関する研究がほぼ順調に進んでいる。また、中国の環境汚染物質に関するデータセットの作成もほぼ完了したことにより、今後も実証分析がおおむね順調に進行していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度において変更した研究計画を26年度でも継続し、1)中国の環境パフォーマンスの検証において、工業部門に関する研究を研究代表者である清水政行(琉球大学)が主に担当する。また同様に、2)中国の環境パフォーマンスの検証において、農業部門に関する研究を連携研究者である森脇祥太(大阪市立大学)が主に担当する。平成26年度では、平成25年度中に変更した台湾と韓国を対象とした研究も同時に進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初、データ入力のための補助員を雇用する予定であったが、研究の性質上、自らデータセットを作成する必要性が生じたため、人件費・謝金分が未使用となったため。 平成26年度においては、研究を進めていく上で必要な各種公刊統計と参考文献を購入するために、その費用として図書資料費を計上した。また、取り寄せることが困難なデータ等を入手するための出張費用として、国内旅費を研究経費に計上した。さらに、海外でのヒヤリング調査等を行うための出張費用として、外国旅費を研究経費に計上した。最後に、英文学術雑誌への投稿・発表を予定しているため、英文校正費と論文投稿費を予算に計上した。
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