研究課題/領域番号 |
24530325
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
齋藤 之美 創価大学, 経済学部, 教授 (10247273)
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研究分担者 |
齋藤 勝宏 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (80225698)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 経済統合 / 関税削減 / 経済厚生 / 開発途上国 / 家計調査 / 家計の消費関数 / CGE分析 |
研究概要 |
本研究の目的は、自由貿易協定などの経済統合が、貧困、貿易赤字に悩む発展途上国経済に及ぼす影響を理論的、実証的に明らかにすることであり、理論分析では、関税削減の厚生経済学的評価を行うこと、実証分析では、ミクロの家計調査データを用いて推計した家計部門を含むCGEモデルにより、経済統合の影響を、所得分配と貧困削減に焦点をあてて数値的に評価することである。 本年度は研究の初年度ということもあり、経済統合による関税削減が経済厚生に及ぼす影響の理論的なサーベイを行った。特に、市場が完全競争的な場合と不完全競争的な場合との比較研究を行い、政府の果たすべき役割について確認した。研究成果の一部は、日本農業経済学会のシンポジウムにて報告された。当初は、完全競争市場を前提とした厚生経済学的評価を行う計画であったが、発展途上国では市場が不完全な場合も多いことを鑑み、不完全競争市場をも取り込んだ。 実証研究の対象は発展途上国ではあるが、初年度ということもあり、先ずは、我が国を対象とした関税削減の効果や貿易の実態について、計量経済学やCGEモデルに基づき分析を行った。さらに、貧困や所得分配への影響を分析するのに必要な家計調査の個票の整理を行い、ネパールについて家計レベルでの消費関数と所得関数の推計を行った。現在、ネパールの社会会計表を推計中であり、家計調査の個票をベースに社会会計表の家計部門の細分化を行う。カンボジアについては、データ収集のみで分析には至らなかった。研究計画全体を見通すと、理論的な面ではほぼ計画通りの研究を行うことができたが、実証面では家計調査の個票を扱いと言う点で、データのクリーニングに多くの時間を費やすことが要求され、当初の計画よりもやや遅れている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
家計調査の個票の入手(カンボジア)に手間取ったことと、個票データのクリーニング(ネパール)に多くの時間投入が必要であったため、当初の研究計画と比べ、やや遅れ気味と成った。理論的な研究については、ほぼ計画通りであった。
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今後の研究の推進方策 |
現在、データの利用可能性から、カンボジアとネパールを中心に研究を進めているが、順次対象途上国を増やしてゆきたい。また、初年度は、時間の制約のため、海外での資料収集ができなかった。次年度以降は、効率的なデータ収集に心掛ける。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外での資料収集のため、データ購入する物品費、さらに旅費に使用予定である。図書の購入も必要である。また、資料整理のために、人件費も支出する予定である。
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