研究課題/領域番号 |
24530325
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
齋藤 之美 創価大学, 経済学部, 教授 (10247273)
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研究分担者 |
齋藤 勝宏 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (80225698)
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キーワード | 経済統合 / 家計調査 / 社会会計表 / 農業生産の非効率性 / 農地再分配政策 / 所得分配 / グラビティーモデル |
研究概要 |
本研究の目的は、自由貿易協定などの経済統合が、貧困、貿易赤字に悩む発展途上国に及ぼす影響を理論的、実証的に明らかにすることであり、理論分析では、関税削減の厚生経済学的な評価を行うこと、実証分析ではミクロの家計調査データを用いて推計した家計部門を含むCGEモデルを構築することで、経済統合の影響を、所得分配と貧困削減に焦点をあてて数値的に評価することである。 本年度は、昨年度に整理したネパールの家計調査データを用いて家計部門を所得階層別・地域別に細分化した社会会計表の推計を行った。また、家計部門を細分化した社会会計表に基づき線型一般均衡モデルを構築し、農業生産の非効率性を解消する場合に家計の所得や消費に及ぼすインパクト(所得・消費水準の変化とジニ係数の変化)を評価した。さらに、ネパールでは農地の再分配政策が喫緊の政策課題であることから、農地の再分配政策が所得分布や貧困削減に及ぼすインパクトについて構築モデルに基づき数値的に評価した。 一方、関税削減が厚生経済や所得分配に及ぼすインパクトについては、価格体系の変化が引き起こす消費や生産における代替効果を評価することが重要となるが、そのためには価格体系の変化を許す非線形一般均衡モデルの構築が必要となるが、目下作業中であり、年度内に構築することはできず、次年度以降の課題となった。 ネパール以外では、カンボジアの家計調査データを入手しており、家計を細分化する社会会計表の推計を行っている。 応用一般均衡分析は統合型のモデルをベースとしており、採用するパラメータの妥当性を統計的手法を用いて検討することはできない。そこで、貿易部門の妥当性を統計的に確認する目的で国連のCommtradeデータを用いてグラビティーモデルの推計を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は非線型の応用一般均衡モデルを構築し、経済統合(関税削減)のインパクトを評価する計画であった。パイロットモデルは構築したが、モデルに数多くの家計部門を含むために、家計部門ごとの需要関数を特定化するためのパラメーターの推計に手間取り、概ね順調に進展しているとは言え、計画通りに研究を進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
家計部門毎の需要関数のパラメーターを特定化して、ネパールの非線型一般均衡モデルの構築を急ぐとともに、カンボジアのモデルも構築し、当初の研究計画を完遂する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果をインドネシアで開催される国際学会で報告予定であるが、予算配分が少ないため、研究予算を学会参加に費やしてしまうと、本年度の研究に支障を来すため、予算の一部を繰り越した。 繰り越し分は、インドネシアで開催される国際学会への参加費・旅費として支出予定である。
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