日本を代表する大企業群の中には、低迷を続けるグループとそうでないグループに分けることができる。両者の大きな違いは、前者が①業界としてデジタル化が進んでいる分野である、②最終消費財完成品のメーカーである、③コスト高の国、日本に本拠地を構えているという点である。 一方で、後者はアナログ技術が重宝され、中間財産業の領域でビジネスを展開している。そして、前者よりも国内生産の比率が高い。これまでを見る限り、後者の業界は以外にコストと高い相関関係があるわけではない。つまり、後者は先進国に相応しい産業であり、経済産業省の「らせん形態発展仮説」の正しさを裏付けている。 しかし、中間財産業とは言え、デジタル化が進むに伴いモジュール化も急速に進行している分野(例えば、リチウムイオン電池)では前者同様低迷が見られる。らせん形態発展仮説においてはこれを見落としている。中間財分野でも淘汰する日本企業が出ているのが現状である。 ずばり、本研究での実績は、前者のグループと後者のグループの違いを、「技術の収斂」に求めていることである。つまり、後発国の企業にない「アナログ技術を基にした応用製品」を自社内で頻繁に行える企業はコストに関係なく成長を謳歌しているということである。 それをらせん形態発展仮説と関連付けて言うならば、中間財産業を経済発展らせんの先端に位置付けていることは間違いではないが、以上の内容からして、アナログ技術や完成財メーカーとの取引を通してアナログ技術の応用力を高める企業群が経済発展らせんの先端に位置するというということが確認できた。
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