研究課題/領域番号 |
24530341
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
辻 爾志 筑波大学, システム情報系, 准教授 (30367990)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 資本構成 / ペッキング・オーダー理論 / トレード・オフ理論 / コーポレート・ファイナンス |
研究概要 |
初年度の平成24年度は、米国における包括的な先行実証研究であるFrank/Goyal(2009)他を参考に、ペッキング・オーダー理論、トレード・オフ理論及びマーケット・タイミング理論(仮説)等に照らしつつ、日本企業の資本構成の状況を明らかにすべく、日本企業のデータを用いて実証研究を推進致しました。 費用執行との関連では、上記のような当初の計画どおり、本研究課題の初年度である平成24年度は、まずは、日本の金融市場や経済環境に関する基礎データとともに日本の企業財務に関する基礎データを購入するという形で、データの購入に関しても、当初の計画通りに、費用執行と研究計画との整合性に配慮しながら、着実に研究を進めて参りました。 結果、平成24年度は、日本企業の資本構成に関する実証研究からの成果を論文にとりまとめ、現在掲載が確定等となっている状況です。平成24年度の研究の意義としては、ペッキング・オーダー理論やトレード・オフ理論が示唆する諸変数と企業の資本構成との関係に関する予測は、各理論で相違する場合も多いのが通常であるが、これらも踏まえつつ、まずは、日本の企業の収益性と日本企業の資本構成との関係を一定程度明らかにできたことが挙げられます。加えて、当初の目的からは、さらに踏み込み、コーポレート・ソルベンシーと企業の資本構成との関係も一定程度明らかにできたことも平成24年度の研究意義として挙げられます。特に、コーポレート・ソルベンシーと企業の資本構成との関係は、従来にない新しい着想・研究となっており、さらにサンプルを拡充する等で、より意義深い研究へと発展する可能性もあると考えております。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の平成24年度は、米国における包括的な先行実証研究であるFrank/Goyal(2009)他を参考に、先述のように、ペッキング・オーダー理論、トレード・オフ理論及びマーケット・タイミング理論(仮説)等を踏まえながら、日本企業の資本構成の状況を明らかにすべく、日本企業のデータを用いて実証研究を推進することが当初の目的でした。このような計画との対応関係からは、日本企業の収益性と日本企業の資本構成との関係を一定程度明らかにできたことに加えて、さらに、コーポレート・ソルベンシーと日本企業の資本構成との関係をも一定程度明らかにできたことに鑑みれば、当初の目的から少し踏み込んだ進捗状況といえると思われます。サンプルをさらに拡充すべき点などが課題と思われますが、全体的な進捗を踏まえれば、ほぼ当初の計画通りと判断できると考えます。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、平成24年度に整備した本研究のための基礎データに加え、米国企業の財務データ、流動性を計測するための日米のデータ等を追加購入し、流動性要因と企業価値及び資本構成との関係に関する研究に焦点を当て、分析・研究を進めていく計画です。参考文献としては、流動性要因と資本構成の問題を米国企業に関して検討したものに、Lipson/Mortal(2009)がありますので、これに独自に企業パフォーマンス(企業価値)の観点を加えることで、日米双方に関して新しい研究成果が得られるよう実証研究を進める計画です。 このように、平成25年度は、企業の資本構成問題の中で、そのトピックスを移行させつつ追加的成果を狙いながら、引き続き実証研究を丹念に行うとともに、理論的にも結果を深く検討・吟味したく考えます。 なお、本研究の周辺事項に関する経験的かつ実践的な知識と感覚を持つ実務家へのヒアリング等のための都心への出張は、前年度に引き続き研究に組み込む予定としております。さらに、データの加工・計算作業にあたる研究支援者1名の雇用も、迅速かつ効率的な研究の推進の一助とすべく、研究計画に継続して組み込む予定です。上記のような具体的な計画に基づき、平成25年度末には、流動性、資本構成及び企業価値の関係に着目した日米企業の資本構成問題に関する研究の成果を論文としてとりまとめる計画です。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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