研究課題/領域番号 |
24530341
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
辻 爾志 中央大学, 経済学部, 教授 (30367990)
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キーワード | 資本構成 / ペッキング・オーダー理論 / トレード・オフ理論 / コーポレート・ファイナンス / 株主構成 |
研究概要 |
本課題研究の2年目である平成25年度は、米国における先行実証研究であるLipson/Mortal(2009)他を参考に、企業の資本構成にかかわる諸事項・諸問題の現状・実際を明らかにすべく、日本企業のデータを用いて各種の実証研究を推進致しました。 費用執行との関連では、上記のような計画どおり、本課題研究の2年目である平成25年度は、日本の企業財務に関する諸データを中心に研究に必要な各種データを購入しつつ、当初の計画通りに、費用執行と研究計画との整合性に配慮しながら、着実に研究を進めて参りました。 結果、平成25年度は、日本企業の資本構成に関する実証研究からの成果を複数の論文にとりまとめ、発表するに至りました。 平成25年度の研究の意義としては、コーポレート・ソルベンシーと企業の資本構成との関係についての実証結果を提示できたことや企業収益と企業の資本構成の関係に関する実証結果を提示できたことに加え、以下のような研究も行うことができたという点が挙げられます。すなわち、1)日本企業の業種別の資本構成の概観・調査と日本企業の業種内での資本構成の差異とそれらの企業の株式リターンとの関係に関する実証結果の提示、2)株主の株式所有の状況と企業の株式リターンの関係に関する実証結果の提示、さらには、3)企業の流動性と資本構成とその企業パフォーマンスとの関係に関する実証結果の提示等が研究成果として提示できたことが挙げられます。なお、これらの研究についてはさらにサンプルを拡充する等で、より意義深い頑健な研究へと発展する可能性もあると考えております。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題研究の2年目である平成25年度は、米国における先行実証研究であるLipson/Mortal(2009)他を参考に、先述のように、コーポレート・ソルベンシーと企業の資本構成との関係について実証結果を提示したことや、企業収益と企業の資本構成の関係に関する実証結果を提示したことに加え、以下のようなその他の研究も実施することができました。より具体的には、1)日本企業の業種別の資本構成の全体的な状況調査や、2)日本企業の業種内での資本構成の差異と日本企業の株式リターンの関係に関する実証結果の提示が挙げられます。さらには、3)日本企業における株主の株式所有の状況とそれらの企業の株式リターンとの関係に関する実証結果の提示や、4)企業の流動性と資本構成及び企業パフォーマンスとの関係に関する実証結果の提示等が実証研究による研究成果として提示できたことが挙げられます。これらは、当初計画よりも少し踏み込んだ研究成果も伴う状況であると認識でき、一方で、サンプルの拡充等は課題とも言えますが、全体的な進捗として考えると、ほぼ当初の計画通りと判断できると思われます。
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今後の研究の推進方策 |
前述のとおり、本研究課題に関しましては、複数の観点を持ちながら、企業の資本構成に関する諸問題に一貫して焦点を当てつつ研究を継続してきました。結果、現在までに、前述のような複数の観点から、複数の研究成果が挙げられ、これらを踏まえ、研究最終年度である平成26年度は、本研究課題に関する充実したとりまとめ・総括的な年度となるよう研究を継続していく計画です。 より具体的には、平成26年度は、平成24年度からの研究の蓄積や本研究のために整備した各種基礎データを基礎としつつ、加えて、米国企業の財務データ等を追加購入し、当初の研究計画どおり、エージェンシー問題の観点からの株式の所有構造と企業価値及び資本構成との関係に関する実証研究を中心に、各種関連研究に注力していく計画です。このように、本研究課題の最終年度である平成26年度は、企業の資本構成問題の中で、そのトピックスを移行させつつ追加的成果を狙いながら、引き続き実証研究を丹念に行うとともに、理論的にも結果を深く検討・吟味していく計画です。 なお、本研究の周辺事項に関する経験的かつ実践的な知識と感覚を持つ実務家へのヒアリング等のための都心への出張も、研究に組み込む予定としております。さらに、データの加工・計算作業にあたる研究支援者1名の雇用も、迅速かつ効率的な研究の推進の一助とすべく、研究計画に取り込んでいく予定としております。上記のような具体的な計画や工夫等に基づき、平成26年度末には、本研究課題に関し、最終的な総括・とりまとめが首尾よく行えるよう、継続して研究に取り組んでいく計画です。
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次年度の研究費の使用計画 |
助成金については、ほぼ完全に計画どおり使用し、研究を進めることができました。次年度使用額としても、2703円と非常に少額でありますので、一般的に考えて、当該金額は、良好な研究進捗状況を示していると思われます。 非常に少額な繰越金額ですが、大切に、平成26年度の研究に役立てていきたく考えております。
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