研究概要 |
家計生産と時間配分の理論,最適課税論, および世代重複モデルに関する古典的文献の研究を行い, ユーザー・チャージの世代間差別に関する分析を可能にする基本的な動学的一般均衡モデルを構築した。具体的な研究は以下の通りである。 (1)家計生産と時間配分に関するベッカーの古典的論文(1965年, E.J.)と最適課税に関するダイアモンドとマーリースの古典的論文(1971年, A.E.R.)の研究を行った。これらの論文を結び付けたクレベンの論文(2004年, J.Pu.E.)の研究を行い, 財の消費に時間の投入が必要である場合には最適課税論がどのような修正を受けるかを検討した。 (2)ユーザー・チャージに関するバレストリノの2論文,すなわち(1999年, J. Pub. E. Theory)とサーベイ論文(1999年, J. E. Surveys)の研究を行い, 公共サービス利用に伴うユーザー・チャージの定式化を検討した。家計生産理論の枠組みで, ユーザー・チャージの分析を行っているアンデルベルグ・アンダーソン・バレストリノ論文(2000年, Finanz Archiv)とメタカーフ・パーク論文(2007, International Tax and Public Finance)の研究を行い, ユーザー・チャージのモデル化を検討した。 (3)上記の諸論文の研究に加え,「賃金税率」の世代間差別化を分析したマカフェルテイ(1994年, Public Finance)の論文をサーベイし, ユーザー・チャージの世代間差別に関する研究への彼の世代重複モデルの応用可能性を検討した。 基本的な動学的一般均衡モデルは, ユーザー・チャージの調査・分析を行っている計量計画研究所や、龍谷・中央・明治学院大学主催の「経済動学と非線形経済学」に関する共同研究会で報告され, 意見交換が行われた。
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