研究課題/領域番号 |
24530344
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
鷲見 英司 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (60337219)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 地方財政論 |
研究概要 |
平成24年度の研究は,新地方財政再生制度導入後の地方財政健全化の全体的傾向を捉えることと,個別自治体を対象としたケーススタディを中心に行った.具体的には,第1に,新再生制度導入以降の健全化判断比率の変化の全体的動向を捉えることを目的とした.地方財政健全化法成立時の平成19年度には早期健全化基準を上回る団体が49市町村であったが,平成23年度決算ではわずか2自治体となり,新再生制度下での個別自治体の財政健全化を裏付けた.その一方で,財源不足や地方債残高,財政構造の硬直化等にみられる地方全体の財政状況は悪化してきた.地方財政健全化の全体的動向は,平成25年度前半に論文にまとめる. 第2に,個別自治体の財政状況をケーススタディとして,新潟県や県下都市を対象とし,2度の大震災の影響を考慮して分析を行った.具体的には,鷲見(2012)は本研究申請段階から継続してきたものであるが,新潟県県の決算収支,財政構造の硬直化,債務負担,健全化判断比率の財政指標を用いて,他の都道府県と比較しながら,財政状況と財政運営の状況を定量的に把握している.鷲見(2013)は,新潟県下の特例市である長岡市と上越市を対象として,他の特例市と比較しながら,財政状況と財政運営の状況を市町村合併の影響を考慮しつつ定量的に把握している.両研究は,県・都市レベル共に,健全化比率では財政状況の改善を示すものの,債務負担の増大や財政構造の硬直化が進んだことを示している.新再生制度が財政健全化に向けた自治体の財政運営に与えた影響については十分な分析に至っていないため,平成25年度に実証分析を行う予定である. 鷲見英司(2012)「新潟県の1990年代,2000年代の財政運営と財政状況」『新潟大学経済論集』第92号 鷲見英司(2013)「新潟県下政令市・特例市の2000年代の財政運営と財政状況」『新潟大学経済論集』第94号
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は現在のところおおむね順調に進展している.平成25年度は24年度の研究をまとめるとともに,それらの成果の上に,実証研究を発展させるうえで重要な1年となるため,これまで以上に進捗管理に努めることとする.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の着実な推進のため,以下の方策を平成25年度に実行する. まず,平成24年度に行った新制度導入後の地方財政健全化の全体的傾向の把握について,平成25年秋に発刊される新潟大学経済学部紀要に投稿する予定である. つぎに,新制度導入後の地方財政健全化の傾向を踏まえつつ,都道府県と市町村を対象として,自治体の財政状況の変化要因と財政運営の状況を分析することで,新制度下での財政健全化に向けた財政運営の変化やその実態を明らかにする.これは,平成25年秋に学会報告(現在申請中)を行い,その後成果を研究論文としてまとめる予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費は,以下のように各項目に支出する予定である. データ入力委託の謝金25%,研究調査・学会報告等旅費50%,地方財政関連図書等25%
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