本研究では,地方財政健全化法(2007年成立)によって導入された,新しい地方財政再生制度が地方自治体の財政を健全化させたかどうかを統計学的手法を用いて検証した。新地方財政再生制度の下で,早期に健全化が必要と判断される早期健全化段階にある地方自治体(市町村)のうち,特に公債費負担が増加した自治体では,公債費や地方債残高の削減,積立金の増加,実質単年度収支の改善などの財政健全化を意図した財政運営が確認された。このように,新しい地方財政再生制度の導入によって,財政状況が悪化した自治体に財政健全化を意図した財政運営が早期に促されたことは,地方財政再建制度改革の意義ある成果と結論づけることができる。
|