研究課題/領域番号 |
24530348
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西村 幸浩 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (90345471)
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キーワード | 租税競争 / 戦略的代替性 / 戦略的投票 / 環境政策 / 非対称地域 |
研究概要 |
学会The 2013 Meeting of the European Public Choice Societyに参加し、論文`Interregional Tax Competition, Environmental Standards, and the Direction of Strategic Delegation'(寺井公子氏との共著)を発表した。また、討論者としての参加や資料収集なども行った。Academia Sinicaでのセミナーと、University of FreiburgにおけるGerman-Japanese Symposiumにおいて、論文`Strategic Voting and the Case for the "Political Race to the Top"'(寺井公子氏との共著)を発表し、参加者より高い評価をいただいた。この論文は推敲の結果、主要結果は極めて広い範囲の拡張が可能であることが示された。推敲稿は、査読付学術誌へ投稿された。また、論文`Emergence of Asymmetric Solutions in the Abatement Game'(Academia SinicaのIEAS Working Paper No.13-A006)においては、既存研究との完全対比と、その経済学的含意を明らかにすることができた。 The Center for Operations Research and Econometrics (CORE)でのWelfare Economics Seminarにおいて、論文`On Fair Collective Choice Rules Based on No-envy: Application to Production Economies and Optimal-Taxation Problems'を発表し、参加者より高い評価をいただいた。また、COREのJean Hindriks教授と、多国籍企業への法人課税における、非対称国家間の租税競争の研究を進めた。この研究は、`International Tax Leadership among Asymmetric Countries'としてまとめられ、COREのWelfare Economics Seminar、およびUniversity of Liegeにおけるセミナーにて報告され、参加者より高い評価をいただいた。この論文は消費税におけるクロスボーダーショッピングなど、広い文脈での応用が可能であることが分かり、現在、論文を作成中である。 地球環境問題に関する経済理論モデルに関する文献調査等を進め、COREのHenry Tulkens教授との議論を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、代替的な定式化(経済モデル)のもとでの、戦略的相互依存の帰結の再検討を、その目的の一つとした。地域政府間や国家間の租税競争や租税政策や環境規制競争は、グローバル化された時代における公共政策のトレンドと今後を考える上で、非常に重要な経済問題である。戦略的委任に関する研究が、極めて広い範囲の拡張が可能であること、また非対称均衡の形成に関して先行業績と完全対比をすることができたこと、非対称国家間の租税競争について新たな研究結果を示せたことは、関連分野の知見を高める上で有益な貢献となった。これらの研究は、国内外の学会やワークショップでの発表を果たすことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度・25年度の研究内容を成果としてとりまとめ、発展方向を継続的に模索していく。また、学術誌への投稿の数をできるだけ増やしていく。The Center for Operations Research and Econometrics (CORE)のJean Hindriks教授からは、多国籍企業への法人課税、消費税におけるクロスボーダーショッピングなど、関連する理論研究や、実証研究への発展の可能性などの点から、今後もアドバイスをいただいていく予定である。COREのHenry Tulkens教授、およびPierre Pesieau教授からも、アドバイスをいただくことを予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていく上で、必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行額は異なった。しかし、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。 研究活動に必要と思われるパソコン周辺機器および文房具の購入、および研究成果発表や資料収集のための、国内および海外出張に用いる予定である。
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