研究課題/領域番号 |
24530350
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
北野 重人 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (00362260)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 資本移動 / 新興市場 / 資本規制 / マクロ・プルーデンス / 世界金融危機 / MCMC |
研究概要 |
平成24年度は、主に現在、生じつつある新興市場国における資本流入(と状況によってはその流出)に関する実証的知見の集積に取り組んだ。具体的には、世界金融危機後の資本流入問題とそれ以前の同様の問題において、過去の研究を踏まえ、どういった類似点と相違点がデータからみられるかを検討した("This time is different?")。また、資本流入の構成が異なれば、流出の発生する可能性も異なると予想されるため、地域や国別の資本流入の構成に関して、どういった特徴があるかについて検討を行った。個々の政策(I.資本規制、II.為替政策、III.財政政策)に関しても、今回のケースと過去のケースについてどのような類似点と相違点があったかを検討した。現在の個々の新興市場国の特徴をより明示的に取り入れたモデルの構築と、より現実的な政策評価を行うために、時代別、国・地域別の特徴の把握に十分な時間をかけた。また、次年度以降に構築する新興市場国に関するモデルについて、MCMCを用いたDSGEモデルのベイズ推定を行うが、発展途上の計量推計方法であり、十分な方法論的な知見の獲得と準備を行った。結果、予定よりも早く成果を上げることができ、以下の論文が海外ジャーナル掲載予定となった。 "An Optimal Government Spending Reversal Rule in a Small Open Economy" (with Kenya Takaku) International Review of Economics and Finance, forthcoming.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「研究実績の概要」での記述通り、既に成果の一つが海外ジャーナルに掲載が決まっているため、当初の計画以上に進展していると判断している。 なお掲載予定論文は以下の通りである。 "An Optimal Government Spending Reversal Rule in a Small Open Economy" (with Kenya Takaku) International Review of Economics and Finance, forthcoming.
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今後の研究の推進方策 |
現在の新興市場国における資本流入問題について、昨年度は、データ収集を行うとともに、過去の事例との類似点と相違点、地域・国別の特徴、並びに対応策としてのマクロ政策に関する過去の事例との違いを分析した。今年度は、初年度に得た実証的知見を基にし、また新興市場国に関するマクロ経済学の最近の展開を踏まえ、個々の新興市場国の特徴をより明示的に取り入れたDSGEモデルを構築する。翌年度は、そうしたDSGEモデルを基にMCMCによるベイズ推定を行うことで、各々のマクロ政策(IからIII)について、先行研究より現実妥当性の高い厚生分析による政策評価を行う。最終年度は、各政策を組み合わせた場合のポリシー・ミックスの問題を検討し、さらにより現実的な政策評価を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費の使用計画(直接経費)は、以下の通りである。 物品費/50,000円、旅費/400,000+210,264=610,264円、人件費・謝金/40,000円、その他/10,000円 なお「次年度使用額(B-A) 210,264円」については、成果報告のための海外旅費として、使用する予定である。
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