本研究では、日本の地方税(とくに基幹税)を対象にして税収の安定性を分析し、以下のような成果を得た。第1に、地方税の税収の安定性と伸張性をそれぞれ税収の短期的所得弾力性と長期的所得弾力性によって推計した。そして、地方法人課税は税収の安定性が低いこと、固定資産税は税収の安定性が高いこと、固定資産税は税収の伸張性も高いことなどの結果を示した。第2に、地方税収の安定性と伸張性の関係を相関係数によって推計し、税収の安定性と伸張性の間にトレード・オフの関係があることを示した。第3に国税からの影響遮断をグレンジャー因果性テストによって検証し、市町村民税所得割において国税からの影響があることを示した。
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