研究課題/領域番号 |
24530356
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
臼杵 政治 名古屋市立大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (90539058)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換(米国・カナダ) / 年金制度 / 資産運用 / ファイナンス |
研究概要 |
・当該研究分野に関する先行研究についてサーベイした上、角谷・矢野(証券アナリストジャーナル2012年12月号)やBrier and Signori(Journal of Portfolio Management 2012年Summer)など新たな研究についてサーベイを行った。 ・期待インフレ率のカリブレーションについて、国内の研究者(三井住友信託銀行 矢野学氏、岩本純一氏)にカールソン・パーキン法による推計などのヒアリングを行った。 ・カナダ及び米国の主要な公的年金基金の資産運用について、①負債がインフレに連動する場合の資産サイドの対応、②多様な資産を組み入れた場合のリスク管理、③非市場性資産の扱い、などの観点から、ヒアリングを行った。ヒアリング先は、①年金基金として、・CPPIB(カナダ公的年金基金投資委員会)、・オンタリオ州教職員年金基金、・オンタリオ州公務員年金基金、・世界銀行年金基金、・国連年金基金、②コンサルティング会社として、・タワーズワトソン、・フランクラッセル、・KPA Advisorym、③先行研究の著者として、Salvatore Bruno(IndexIQ)、・Vince Childers(Alliance Bernstein)らである。 ・実証研究に用いる、主要4資産及びインフレ率、為替レートなどの長期リターンデータを収集・整理に取り組んだ。 ・本助成研究に関連した応用研究として、年金制度における世代間公平と資産運用、年金財政の積立方式制度の評価、などについて研究論文を執筆した。ニッセイ基礎研究所中嶋邦夫氏との共著論文を数ヶ月以内に刊行する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・2012年度になり、新たに複数の先行研究が現れたため、そのフォローアップと海外の公的年金基金のポートフォリオについてヒアリングを行った。 ・また、同じ年金資産運用に関連して、年金制度における世代間公平について論文を執筆した(数ヶ月以内に印刷予定)こともあり、本研究に十分な時間を充てて推進することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
1.当面は主要4資産に加え、①為替、②ヘッジファンド、を組み入れたうえで、年金負債のリターンがインフレに連動する場合の、最適ポートフォリオ(資産配分)についての実証研究を進める。 2.その際に、角谷・矢野(証券アナリストジャーナル2012年12月号)やBrier and Signori(Journal of Portfolio Management 2012年Summer)を参考にしたVARモデルを活用し、モンテカルロ法から、投資期間ごとの分散共分散行列を導出して、平均分散法による最適ポートフォリオの内容を検証したい。 3.その上で、前出Brier and Signoriを参考にしながらインフレとデフレの間の経済レジームの転換を取り入れて、それぞれに最適な資産配分を考えると同時に、レジームに確率を付与した場合の最適な資産配分を明らかにしたい。 4.また、ヘッジファンドなどの非流動性資産については、Kritzman et al(Journal of Portfolio Management 2013年 Winter)らの手法を用いて、市場価格(時価)が存在しないために隠されているVolatilityを再現し、最適化の際に考慮する手法をとる。 5.ヘッジファンド、不動産、PEなど非流動性資産への投資戦略については、分家調査の他、実際の管理手法などに関して引き続き内外年金基金へのヒアリングを続け、その上で成果をまとめることとしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の若干の遅れにより、次年度使用額(416,786円)が生ずるとともに、平成25年度の交付請求額を当初予定の80万円から40万円に減額し、合算した研究費(816,786円)をIbbotson Associatesのデータベース利用ソフト、EnCorrの購入(年間66万円)等に充当し、研究を進めることとする。
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