本研究では、ベクトル自己回帰モデルによりリターンの時系列構造を考慮し、物価・賃金上昇率を目標とした場合の長期の最適資産配分を考察した。その結果、 第1に90年代前半(94年)の経済(市場)構造変化の存在を確認した。第2に2次の下方部分積率を最小化する資産構成において、国内資産だけでも、外国債券・株式を含めても、内外株式の割合が10%を超えるのは・90年代前半までのように株式期待リターンが高く、・目標リターンが物価(賃金)上昇率を大きく上回り、・投資期間が長期にわたる、場合に限られた。第3に大規模年金基金の代替資産投資では流動性リスク(コスト)管理が重要である点を海外事例から確認した。
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