研究課題/領域番号 |
24530359
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
西川 雅史 青山学院大学, 経済学部, 教授 (90334143)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 地方選挙 / 公共選択 |
研究概要 |
研究成果報告 昨年度は地方議会選挙(首長,議員)の定量的分析に注力した.ここでは,下記に掲載した研究のうち研究計画の骨格部分に相当する(2)と(3)の概要と意義について付言する. 下記(2)は,1960年代から2004年までの福岡県下の市町村の議会議員選挙データ(独自集計)を用いて,候補者の当落や再選回数などについて整理したものである.市町村議員の行動様式を長期で定量的に考察した研究は少なく,本研究計画の基礎的な材料と位置づけられる.注目すべき結果として,議員選挙は,たとえ無投票である場合であっても,同じ議員が継続しているわけではない点や,30歳代の候補者の当選率が,近年ほど低下している点など,従来の研究が見落としてきた事実を確認できた. 下記(3)は,(2)を踏まえつつ,影響力の大きい首長(市町村長)の当落が,どのような要因に左右されるのかを,業績投票の視点から考察したものである.業績投票の枠組を日本の市町村データに適用した先行研究はこれまでにはなく,学術的な貢献は大きい.なお,この論文は,ヨーロッパ公共選択学会(2013年3月)で報告するなどし,リファインを続けており,本研究計画の最終成果において柱の1つになる予定である. 出版物 (1)「面積制約下の市町村合併」『新しい地方行政におけるガバナンスの研究~多摩地域を事例として~』(細野助博編著,4章:pp.93-121所収),(2)「市町村議会選挙の基礎的分析」『経済研究(青山学院大学経済研究所)』4号,pp.165-189.,(3)「地方選挙の業績投票は不況期に現れる」『経済研究(青山学院大学経済研究所)』4号,pp.143-154.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地方自治体の意思決定(公共選択)を包括的に検討する本研究では,地方政治家の行動様式,有権者の行動様式,官僚の行動様式について定量的に分析することが必要となる.昨年度の研究成果は,地方議員と市町村長の視点(業績投票の枠組)から有権者との緊張関係を考察したものと位置づけられ,その成果として研究ノート2つを公刊し,その発展的研究(途中)を国際学会で報告する準備の過程で,修正すべき点を確認することができた.本年末からは,地方自治体の官僚の行動様式についての研究にも取りかかっており,研究計画は,おおよそ順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
(1)2013年度は,集中的に分析を行う期間と位置づけ,次なる研究(入札,公務員労組)をスタートし,可能な限り早い段階から学会報告などを行い,他の研究者からの批判をあおぐ. (2)また,地方選挙のデータについては,2004年以降の更新作業を行っているが,まだクリーニングにまで至っていないので,これを進める. (3)地方自治体の主たるプレイヤーと位置づける,政治家,官僚,有権者それぞれについて定量的分析を進めつつも,それらの研究成果を1つの全体像として組み立てるには,糊代や外枠が必要になる.各部位が明らかになる中で,全体像の完成形についても検討を始める必要がある.
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)地方選挙データの更新 (2)地方選挙にみる「デュベルジェの法則」の検証 (3)公務員の職員団体の政治力 (4)入札制度分析(サーベイ,国内データの分析のスタートアップ) (5)「足による投票(転出入)」と「手による投票(選挙)」の相対比較(スタートアップ)
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