研究課題/領域番号 |
24530359
|
研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
西川 雅史 青山学院大学, 経済学部, 教授 (90334143)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 地方自治体 / 地方選挙 / 職員団体 / 公務員給与 / 入札制度 / 市町村合併 |
研究実績の概要 |
○研究活動の概要 2014年の研究は,地方自治体の意思決定について,(1)地方自治体の公務員労組(一般行政職の職員団体)と公務員給与の関係,(2)入札制度と落札率という視点から考察を進めた.地方分権によって,地方自治体の裁量が高まるほど,地方自治体の意思決定への理解を深めることが必要になる.しかし,(1)(2)の視点から,わが国の地方自治体の行動を定量的分析した研究は非常に僅少であり,その間隙を埋めなければならない.なお,2015年4月に統一地方選挙が実施されることから,選挙に関する分析は,統一地方選挙のデータを収集してから本格化させる.そのため,現在保有する1967年から2010年までの選挙データを精査し直し,2015年度研究の準備を完了した.このほか,外縁的研究として,Eric Weese氏(Yale Univ.)と 林正義氏(東大)とともに,明治の大合併に関する共同研究を進めており,「Inefficiency and Self-Determination: Counterfactual Evidence for Meiji Japan」をとりまとめた(当該論文は,2015年のNBER Summer Instituteで報告する).また,地域政策・住民合意という視点からの共同研究として,原子力施設を有する自治体住民に関する研究も進めている.これら外縁的研究は,「住民」と自治体の公共選択との関係性を改めて考え直す良い契機となっている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2013年から2014年にかけて国内外で研究成果を報告した.そこで頂戴したコメントを踏まえて,2015年の統一地方選挙の結果をも斟酌する必要があるとの判断から,「選挙」に関する研究を一時的にペースダウンさせることになった.その一方で,地方公務員の労組(職員団体)と給与の関係,入札制度と落札率の関係など,地方自治体における公共選択の具体的側面の考察を進めることができた.また,明治の大合併に関する共同研究は,地域住民の合意形成が地方自治体の公共選択(合併という意思決定)に与える影響を理解するための,非常に有益な機会となった.以上の理由から,当研究プロジェクトは,代表者である私の視野の広がりに合わせて研究範囲の淵源を広げつつも,順調に良好に進展しているものと判断している.
|
今後の研究の推進方策 |
2015年の統一地方選挙を受けて,2011年から2015年までの選挙結果を整理し,これらを既存の1967年から2010年までのデータに接合する.その上で,当該データを用いて,政治家の業績(政策選択,財政状況,雇用創出)が選挙で有権者からどのように評価されてきたのかを考察する.また,この間に並行して進めてきた職員団体,入札制度,市町村合併,住民合意などの諸研究と合わせて,「地方自治体の公共選択」という研究主題に対する一定の回答をとりまとめる準備を進めようと考えている.
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画では,2010年までの地方選挙データを用いて分析をする予定であった.しかし,国内外で研究報告を重ねる中で,他の研究者からのアドバイスなどもありって,2015年に実施される統一地方選挙を分析の範囲に組み入れることが望ましいとの判断に至り,研究成果のとりまとめを2016年度に行うことにした.
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度,データ構築・整理・保全,研究成果の英訳校正費などに費用を充当したいと考えている.
|