本研究の主たる研究成果は以下である. (a)地方自治体の首長は,不景気に地方財政を悪化させることで選挙に勝てることが示された.これは,有権者が,地方財政の悪化に歯止めをかける意欲が乏しいことを含意している.(b)公務員の職員団体(労組)は,公務員給与の引き下げに抵抗し得ることが示された.これは,首長と地方議会は,地方公務員からの圧力から逃れ得ないことを含意している.地方自治体の公共選択は,有権者と公務員の意向を無視し得ず,そのことが,組織としての効率化を阻害している蓋然性が高い.私たちは,このような性向を有する地方自治体へ権限を委譲して良いのであろうか.再考の余地がある.
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