研究課題/領域番号 |
24530360
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
渡部 和孝 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (80379106)
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キーワード | 預金保険制度 / 所有形態 / モラルハザード |
研究概要 |
本研究は1.預金保険制度とモラルハザード、2.銀行の所有形態とパフォーマンスの関係、3.二段階規制と銀行行動、4.政府系金融機関の融資と借り手の政治への親密性の関係、5.震災の被害を受けた地域金融の政策支援、の5テーマから構成されている。 1については、論文、Guizani and Watanabe (2014)を英文国際査読誌の投稿を目的として論文を改訂した。改訂は終了しており、平成26年度中の国際査読雑誌からの刊行を目指している。 2については、論文、インドネシア、ジャカルタに出張し、Kariastanto and Watanabe (2013)の共著者Bayu Kariastanto氏(研究協力者、インドネシア金融サービス庁)と研究打ち合わせを行った。当該論文は、平成26年度中の国際査読雑誌からの刊行を目指している。また、購入済のエマージング経済の非金融企業のデータベースであるOrbis(ビューロー・ヴァン・ダイク・エレクトロニック・パブリッシング社)について2名のアルバイトを雇用し、データ整備を行い、国別に各企業の決算情報、取引銀行情報から構成されるデータセットを作成した。 4、5については、日本政策金融公庫(以後、日本公庫という)に設置された研究者、日本公庫中小企業事業部の実務家をメンバーとする研究会、「政策金融の有効性評価に関する研究会」にメンバーとして参加し、議論を重ねた上、テーマを、政府系金融機関による金融危機対応策の有効性についての研究に修正し、1990年代後半の金融危機時の中小企業金融公庫による融資契約についてのデータを入手するなど、日本公庫と協力の上、研究を進めた。 3については、今後の研究の方向性について検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、5テーマを掲げたが、研究は開始してみなければ成果が出るかわからないので可能性のあるテーマを多めに掲げていた。結果として、当初掲げた5テーマを4テーマに統合したものの、既に論文が完成している2テーマに加え、残りの2テーマについても分析用のデータの整理に進捗があったため。
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今後の研究の推進方策 |
論文として成果をまとめた、上記のテーマ1、テーマ2に加え、残りの2テーマ(3テーマを2テーマに統合)についても研究の方向性を探り、成果を論文としてまとめることができるか検討する。 なお、テーマ2については、Orbisデータを用いたデータベースが完成したが、さらに、銀行についての決算情報等を収録した、Bankscopeのデータとのリンクを行う。エマージング経済の非金融企業のデータをその貸し手銀行のデータに接続することにより、貸し手銀行の経営の健全性の企業への影響、とりわけ、外資系銀行の影響について実証分析を行う。 テーマ3については10月に今井雅巳氏(研究協力者、Wesleyan University)を招へいしたものの、今後の研究方針について意見の収束がみられなかった。今年度も引き続き、メール、Skype通信等を通じて、研究方針について今井氏と議論を進める。 統合したテーマ4、5については、日本政策金融公庫中小企業事業部から提供を受けたデータを整備、分析し、論文を作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
論文の国際査読誌への投稿料として使用しようと思っていたが、投稿料が残額の18,242円を少額上回ったため、次年度に繰り越さざるをえなかった。 次年度の交付決定額の一部と合わせて、論文の投稿料として使用する予定である。
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