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2012 年度 実施状況報告書

離脱可能な組織を通じた公共財供給

研究課題

研究課題/領域番号 24530361
研究種目

基盤研究(C)

研究機関駒澤大学

研究代表者

鈴木 伸枝  駒澤大学, 経済学部, 准教授 (90365536)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード準公共財 / 国際公共財 / 繰り返しゲーム / 離脱可能 / 退出可能 / 公共財
研究概要

国際公共財を扱う研究分野が発展しつつあるが,そのような公共財の多くが離脱可能な国際組織を通じて繰り返し供給されるという側面に着目した分析はまだ手薄と言わざるをえない.本研究では「自発的継続繰り返し囚人のジレンマ」の2人ゲームをよりグループ内の人数の大きいモデルに拡張し,「繰り返し」と「離脱可能性」の両方を組み込んだ新しい公共財・准公共財供給モデルを確立する.そして,協力を強化するための情報伝達やメンバーシップについて考察する.
2012年度には,退出可能なグループを通じて繰り返し供給され便益がグループ内でシェアされるような準公共財の基本モデル分析を行った.その結果,グループ間での情報の伝達がない場合には,グループ結成の初期から協力するルールを全員が守るようなナッシュ均衡は存在しないが,割引因子が十分に大きければ信頼構築ルールによって部分的な協力を達成することは可能であることが明らかになった.またグループのメンバーが最適規模よりも減った場合に解散すべきか欠員を抱えたまま継続すべきかという問題も考え,結論は割引因子に依存することがわかった.割引因子が大きい場合には,欠員を抱えたまま継続するルールは守られない.他方,中間的な大きさの割引因子の場合には,欠員を抱えたまま継続する方が解散するよりも効率的になる.
これらの結果は国内外の学会・ワークショップで報告した.現在は英文学術雑誌への投稿のために論文を改稿している段階である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

【達成できた部分】基本モデルの分析においては,ある程度わかりやすい結果をいくつか導き出すことができた.これらを学会・ワークショップで報告し,日本語版の紀要論文も当該年度中に出版した.また,応用モデルの分析にも着手している.
【遅れている部分】年度内に基本モデルの論文を英文学術雑誌に投稿する計画であったが,まだ投稿に至っていない.主な理由は,学会・ワークショップでのコメントを踏まえてさらに分析を拡張してから投稿したい(場合によっては多少の応用モデル分析も取り込んだ論文として投稿したい)部分があったためである.また,投稿先を吟味して論文のイントロダクションをさらに改善する必要を感じている.
【全体として】分析は概ね順調であるが,論文の投稿という面では当初の計画よりも遅れている.よって,全体としてはやや遅れていると評価するのが妥当であろう.

今後の研究の推進方策

基本モデルに応用分析を加え学会・ワークショップでの報告を続けながら,基本モデルを中心とした部分は2013年度前半に英文学術雑誌に投稿する.

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額(B-A)276,319円となっているが,2013年3月のオーストラリア国立大学でのワークショップ参加や学会報告への応募のために2012年度中にほぼ使い切っている.2013年度以降の請求分は当初の計画通りに使用する.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] 退出可能な繰り返し公共財供給ゲーム における対称均衡2012

    • 著者名/発表者名
      鈴木伸枝
    • 雑誌名

      『経済学論集』(駒澤大学)

      巻: 44(2) ページ: 93-105

  • [学会発表] Symmetric Equilibria in VSRPG2012

    • 著者名/発表者名
      Nobue Suzuki
    • 学会等名
      6th Japan-Taiwan Contract Theory Conference
    • 発表場所
      Kobe University
    • 年月日
      20121201-20121201
  • [学会発表] Existence of defectors is sometimes most efficient in Voluntarily Separable Repeated Prisoner's Dilemma (co-authored with Takako Fujiwara-Greve and Masahiro Okuno-Fujiwara)2012

    • 著者名/発表者名
      Nobue Suzuki
    • 学会等名
      European Meeting of the Econometric Society
    • 発表場所
      Malaga
    • 年月日
      20120827-20120831
  • [学会発表] 国際組織を通じた公共財供給2012

    • 著者名/発表者名
      鈴木伸枝
    • 学会等名
      日本経済学会春季大会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      20120623-20120624
  • [学会発表] Public goods provision throughout free exit organizations2012

    • 著者名/発表者名
      Nobue Suzuki
    • 学会等名
      The Association for Public Economic Theory annual conference (PET 12)
    • 発表場所
      Academia Sinica, Taipei
    • 年月日
      20120612-20120614

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公開日: 2014-07-24  

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