環境保全やテロ対策からマンションの管理組合や自治会活動に至るまで,多くの公共財・クラブ財は多期間に渡って繰り返し供給される.この繰り返しのため,1回限り供給される公共財に比べて協力は容易になる.しかしながら,固定されたメンバーで自動的に無限回繰り返しゲームがプレイされるわけではなく,メンバーが裏切って離脱したり思うように協力が達成できずグループが解散することもある.本研究では,このような「離脱可能な繰り返し公共財供給」において,いかにして高い協力水準を実現できるかを考えた. 「繰り返し」「離脱可能性」を考慮した公共財供給モデルとしては,メンバーが2人の特殊ケースに関しては先行研究がある.本研究は主に,既存の2人モデルを3人以上のモデルに拡張して分析・考察を行った. まず,2人のモデルでは生じない,「欠員が生じたときに解散すべきか,そのまま継続するべきか,欠員を補充すべきか」という問題について考え,(1)メンバーの移転や外的要因の変化が少ない場合には欠員を抱えたままの存続よりも一旦解散したほうが効率性が高まること,(2)安易な欠員補充は均衡での協力水準を下げるが,グループの再結成に時間がかかる場合には欠員補充が効率性を阻害しないことを示した.まず,2人のモデルでは生じない,「欠員が生じたときに解散すべきか,そのまま継続するべきか,欠員を補充すべきか」という問題について考え,(1)メンバーの移転や外的要因の変化が少ない場合には欠員を抱えたままの存続よりも一旦解散したほうが効率性が高まること,(2)安易な欠員補充は均衡での協力水準を下げるが,グループの再結成に時間がかかる場合には欠員補充が効率性を阻害しないことを示した.また,最終年度には,2人モデルでこれまでよりも多様な均衡を分析した研究が増えてきたことを受け,3人以上のモデルでのそのような均衡の存在条件や効率性比較を行った.
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