研究概要 |
本研究課題の目的はわが国株式市場ではなぜ株価(リターン)予測においてバリュー効果としては簿価・時価比率(BM)しか顕在化しないとされてきたのか、そしてそれは果たして正しいのかを理論と実証で明かすことである。また国際比較の見地で分析する。本研究課題の第1年目では理論と実証モデル化の精緻化を行うと同時に、日本市場でしか利用可能でない経営者予想利益を用いたFEPファクターがBMファクターと共に日本市場では有効にリターン・クロスセクションを説明する点を明かした。成果は初版ドラフト Hiraki, T., A. Watabane and M. Watanabe (2012)としてSSRNの個人ウエブサイトでの閲覧に供した。さらに内外の学会(日本ファイナンス学会、Northern Finance Association )の年次大会やや日米豪の大学ワークショップなどで発表した。2013年度を通してファイナンスのトップ2ジャーナルに投稿を行うも現在までacceptされるまでには至ってない。その間数度大きな改定を行い、現在SSRNの個人サイトには改定後の最新版が登録されている。世界からフルダウンロード数は現在130程度である。2013年度における改定の中心は予想利益効果の頑健性をさらに向上させることと、価格モーメンタムとは異なる予想利益発表効果の影響に対しても調整した後にも残るFEP効果の有効性を投資価値として明示した点である。 本研究の副産物として、論文の成果を Hiraki, T., M. Liu and X. Wang (Journal Banking & Finance改定中)では投資信託の評価に、そしてChoi, J., T. Hiraki and J. Landi (Journal of Corporate Finance最終化中)では多国籍性プレミアムの解明に関連付けている。
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