研究実績の概要 |
これまでわが国株式市場ではリターンのクロスセクション予想関係においては簿価時価比率でみたバリュー効果しか有効でないとされてきた。本研究ではもう一つ有効なバリュー効果としてFEP(Forecasted Earning Price比率)の有効性を実証した。学会発表や世界の主要大学でのワークショップで論文は改定を経て、現在は、Hiraki, Watanabe and Watanabe (2014)としてSSRNに掲載し、2年間で約150のダウンロードを数えている。最終年度においてもファイナンス分野でのトップジャーナルからの論文発表(投稿)に果敢に挑戦したが、採用許諾を得るにまだ至ってない。現在は日本以外でも経営者の利益予想が注目されてきたので、世界市場を実証の対象としたリサーチに昇華させることを考えている。 一方、本研究の実務へのインパクトは大きく、本邦の代表的証券市場研究データベンダーは本研究成果を取り入れた運用評価ベンチマークモデル(Hiraki, Watanabe and Watanabe 4-Factor Model)を2014年7月からデータ提供を開始している。さらに本研究課題の周辺で取り組んできた研究が副産物としてであるが、最終年度において論文2点が世界的によく知られたファイナンスジャーナルから刊行された(されることになった)。それらは、1) Choi, Hiraki and Landi (2014, Journal of Corporate Finance);そして 2) Hiraki, Liu and Wang (2015, Journal of Banking and Finance)で、前者は海外直接投資へ、そして後者は国際分散投資への応用として位置づけられる論文である。また、本研究課題の拡張論文が2点ほどワーキングペーパー直前のドラフトとして公開が待たれている。
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