研究課題/領域番号 |
24530364
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
野田 顕彦 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (80610112)
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研究分担者 |
井奥 成彦 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (60184371)
前田 廉孝 西南学院大学, 経済学部, 講師 (90708398)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 計量ファイナンス / 日本経済史 / 市場効率性 / 市場統合 / 東京米穀商品取引所 / 大阪堂島米穀取引所 / 外米代用受渡 / 朝鮮米 |
研究実績の概要 |
本年度は,前年度までに行った時変計量経済モデルによる分析結果について,記述史料を用いた経済史的考察を中心に進めた。記述史料には,平成24年度から継続的に収集を進めてきた国立国会図書館所蔵書籍類のほか,平成26年度に新たに収集した農林水産省農林水産技術会議筑波事務所所蔵農林省米穀局作成史料も用いた。上記の農林省米穀局作成史料は,既往研究で多くは利用されてこなかったものの入手が難しい行政機関内部の史料であり,その史料的価値は極めて高い。それら史料群のなかには,農林省が米穀取引所へ対する調査を実施した際の報告書も含まれ,米穀先物取引の実態を知る上で貴重な情報が数多く含まれる。これらの史料を考察に用いることで,平成25年度までにおける本研究より明らかにされた戦前期米穀市場の不安定性,即ち米穀先物市場の情報効率性と先物価格の現物価格に対する指標価格形成機能が経時的に変化する特徴は,植民地米の内地米穀市場における流通拡大,植民地米が内地米と同質の品種へ「改良」されたことに規定される側面を強く有していたことが明らかになった。つまり,既往の米穀史研究は政策的な植民地米移入により供給不足分を補填することで内地の米穀「自給」が達成されていたことを指摘してきたが,そうした政策的米穀移入は,内地における米穀先物市場の効率性を低下させ,同市場が現物価格の指標価格を形成し得ない点で機能不全に陥る要因となっていたことが本研究により解明された。
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