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2013 年度 実施状況報告書

企業統治のボラティリティへの影響:株主特性から見たアジア域内の比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 24530369
研究機関早稲田大学

研究代表者

蟻川 靖浩  早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (90308156)

研究分担者 光定 洋介  産業能率大学, 経営学部, 教授 (40460258)
キーワード株式所有構造 / 情報開示 / 株価の情報効率性
研究概要

本研究の目的は、「Exit」が主要なガバナンスの手段であるアウトサイダーの株主が、モニタリングを通じて株価の情報効率性に影響を与えるかを分析することである。
当年度は、日本企業のデータを用いた分析を進めた。具体的には、東証上場企業をサンプルとして、企業レベルの株式所有構造および情報開示(ディスクロージャー)の程度の差が、株価の情報効率性に何らかの影響を与えるのかを実証的に分析した。株価の情報効率性に関する変数としては、各企業の株価のボラティリティのうち企業固有の要因で生ずる割合を用いる。
現段階で得られている結果としては第一に、株価の情報効率性が企業の情報開示の質の程度と正の相関をすることが確認された。これはすなわち、企業が情報開示の質を上昇させることは、株価の情報効率性を高めることにつながると解釈できる。さらに、外国人投資家の株式保有が株価の情報効率性にどのように影響するのか、についても分析を行った。外国人投資家は、モニタリング活動などを通じて情報を獲得しようとする投資家、すなわちインフォームド・トレーダーとしてここでは想定している。インフォームド・トレーダーとしての外国人投資家による株式の売買や、そうした投資家の要求による情報開示の程度の上昇を通じて、株価により多くの情報が織り込まれていくかどうかを検討した。
現時点で得られている結果としては、外国人投資家の株式保有比率が高い企業ほど、株価の情報効率性も高まる傾向にあることが観察された。このことは、外国人投資家の株式の保有と売買が、株価の情報効率性を高めている可能性を示唆しているかもしれない。以上の結果については、その頑健性をテストする必要があり、これが2014年度の課題といえる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

日本企業に関する分析は一定程度進展させることができたと考える。他方、海外企業に関しては、分析がそれほど進んでいないのが現状である。その理由としは、海外企業に関する株式所有構造のデータベース構築作業が想定したペースほどは進んでいないことがあげられる。

今後の研究の推進方策

日本企業をサンプルとした分析については、得られた結果の頑健性を高めていく作業が必要と考える。具体的には、株価の情報効率性を評価する指標として、現在使用しているもの以外にも新たに指標を作成、テストすることなどが、具体的な方策である。
海外企業については、データベース構築作業のペースを上げることが必須と考える。とりわけ、各企業の株式所有構造及び株価関連のデータの収集を急ぎ、できるだけ早く分析作業に着手する必要があると考える。

次年度の研究費の使用計画

データベース構築作業の進展速度が想定したよりも遅かったため。
分析結果の頑健性をテストするために必要となるデータの購入に用いる予定である。

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公開日: 2015-05-28  

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