研究課題/領域番号 |
24530377
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
玉井 寿樹 近畿大学, 経済学部, 准教授 (00456584)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 財政政策 / 金融政策 |
研究概要 |
本年度は、従来から進められてきた理論・実証研究(財政の維持可能性、動学的一般均衡モデルを用いた財政・金融政策の効果の検証)のサーベイ、各国の経済情勢及び財政状況、金融市場の制度的側面について論点整理、主要国の財政・金融政策動向を分析した。また、それらの研究成果を踏まえて、財政政策・金融政策の効果を分析する理論的フレームワークを構築した。これらの研究成果の一部は「The Macroeconomic Effects of Fiscal Policy in a Stochastically Growing Economy」としてまとめた。この論文で主として不確実性下における財政政策の効果に着目して経済成長への効果を理論的に検証した論文であり、生産構造の違いによって不確実性から受ける経済効果が左右され、財政政策の有効性にも違いを生じさせることを示している。この論文は、各種研究集会において報告し、出席者からの批評を基に改訂、学術誌への投稿を行っている段階である。論文で提示されたフレームワークに金融市場を明示的に導入していくことによって、基本モデルを構築することが期待でき、日本の政策指針として、示唆に富んだインプリケーションを抽出できるはずである。また、その他執筆過程の関連論文についても、各種研究集会等において報告を行った。それらで受けた指摘をもとに、モデルの頑強性の検証、政策含意の精査等を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、現行の金融市場制度の環境下で財政金融政策が実体経済の経済規模・安定性に与える影響を明らかにするとともに、経済を安定化する政策ルールの導出及びその政策実行判断の基礎資料を提供することである。このため、当該年度では(1)研究動向の把握、(2)主要国の政策動向の把握及び(3)次年度の分析に向けた理論モデルの骨格づくりを予定していた。(1)、(2)については債務残高と金融不安に関係したAPET(公共経済理論学会)に参加し、最新の研究動向を把握する等の情報収集を行った。そこで得た情報を基にして、基礎理論の構築に着手し、その一部の成果を「The Macroeconomic Effects of Fiscal Policy in a Stochastically Growing Economy」として論文にまとめている。また、その拡張についてもすでに着手している。以上のことから、現在までに初年度行うべき研究内容はほぼ達成されている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では、当該年度の研究計画を推進していき、基礎理論を完成させ、実証分析・シミュレーションへとつなげる理論モデルを確立したい。具体的には、これまで構築した理論モデルを日本の実態に適合した理論モデルへと拡張し、基本的な政策的知見を導くこととしたい。その際に、生み出された成果(各国財政・金融政策の歴史・現状に関する研究の成果とそれらをベースとする理論的研究)については積極的に学会発表・研究論文の形で公表していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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