研究課題/領域番号 |
24530378
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
上村 敏之 関西学院大学, 経済学部, 教授 (00328642)
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研究分担者 |
中澤 克佳 東洋大学, 経済学部, 准教授 (20453855)
齊藤 由里恵 徳山大学, 経済学部, 准教授 (60552502)
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キーワード | 社会保障 / 受益と負担 / 持続可能性 / 地方財政 / 所得再分配 |
研究概要 |
研究の目的は、社会保障の持続可能性の確保、さらには社会保障の受益と負担について、世代間、地域間、所得階級間を表現するモデルから評価を行い、日本の社会保障の政策的な課題と対策を考察することにある。特に本研究では、国の社会保障のみならず、地方自治体による社会保障に注目している。 平成25年度においては、介護保険制度と国民健康保険制度の事業費、および家計のマイクロデータを用いた税と社会保障の受益と負担による所得再分配への影響、さらには地方消費税の増税にともなう地方自治体への財政と社会保障との関係について研究を行った。合計8回の学会報告を行い、6本の論文が研究雑誌に掲載された。 まず、特に地方財政の観点から、社会保障の持続可能性について検討し、どのような政策が持続可能性を高めるのかについて検討した。「社会保障と税の一体改革」により、消費税の税率が引き上げられたが、その一方で社会保障費の効率化は、社会保障財政にとっては重要な課題である。 平成25年度は、介護保険制度と国民健康保険制度の事業費のあり方について、広域化による効率化について分析した。現在の社会保障改革においても、保険者の単位の広域化が検討されており、ホットイシューを扱う研究が展開でき、論文にまとめることができた。 また、持続可能な社会保障制度を財源から支える家計についても、マイクロデータを活用することで、社会保障の受益と負担がどのように家計の所得再分配に影響をもたらしているかについて研究を行い、学会報告を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究実施計画においては、平成24年度より継続している介護保険制度と国民健康保険制度の分析については、平成25年度に論文としてまとめることができた。また、家計のマイクロデータである『全国消費実態調査』および『国民生活基礎調査』の匿名データのデータ整備に多くの時間をとられたものの、学会報告という形で研究成果を公表することができた。地方自治体の性質別・目的別クロス表の決算データによる社会保障の分析については、データ整備には着手したものの、学会報告や論文としてまとめるまでには至らなかった。最後の点は今後の課題であるが、全体的にはおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
地方自治体の性質別・目的別クロス表の決算データや、家計のマイクロデータである『全国消費実態調査』および『国民生活基礎調査』の匿名データの整備作業が、本研究にとって重要であるため、引き続き大学院生を雇用することでデータ整備を行う。また、特に匿名データについては、匿名データだけでは分析ができないために、補完的に他のデータを組み合わせる作業が必要な場合がある。その場合も、学生にデータの収集を実施してもらわねばならない。実際の分析についても、シミュレーションモデルをコンピュータ言語を用いたプログラミングによって構築している。大きいモデルを扱う予定であり、プログラム作成をいくつかのパートに分解して、共同作業でモデルを構築する。これらの作業のために、コンピュータの周辺環境や消耗品、または他の研究者からの専門知識の提供、さらには研究協力者との研究打ち合わせが必要となる。
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