研究課題/領域番号 |
24530379
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研究機関 | 広島修道大学 |
研究代表者 |
山口 力 広島修道大学, 経済科学部, 教授 (60435047)
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キーワード | 部分的提携 / 環境協定 / 租税協調 / 租税競争 / 繰返しゲーム |
研究概要 |
平成25年度は予定した年次計画に従い、関連文献の整理と同時進行で理論モデルの構築・分析を行い、それまでに得られた結果を論文「Coalition-proof hub-and-spoke and multirateral green technology international agreements」にまとめ、第69回IIPF(国際財政学会;於 イタリア、シチリア島)および第27回応用地域学会(於 京都大学)にて発表した。本論文は国際的な環境協定の有効性について公共財の自発的供給モデルをベースに分析されたもので、国家間のネットワーク形成に関して結託耐性ナッシュ均衡の概念を導入している点が特徴である。現在は「Coalition-proof overlapping international green R&D agreements」に改訂され、専門学術誌に投稿中である。 また、政府間の資本課税協調の形成・維持に関して、非同質な3国による部分的提携の税率決定のタイミングを内生化した理論モデルを構築した。主な分析結果は以下のとおりである。 ・相対的に同質な2国による協調の場合、均衡は同時手番となる。 ・相対的に異質な2国による協調の場合、均衡は同時手番、非協調国リーダーによるシュタッケルベルグ均衡のどちらも起こりうるが持続性という観点では後者が採択される。 さらに、以前執筆した非同質な3国資本課税協調モデルに関する論文を「Implementing partial tax harmonization in an asymmetric tax competition game with repeated interaction」に改訂し、専門学術誌に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成25年度は4年計画の2年目であり、予定した年次計画に従い、理論モデルの構築・分析を行うことが出来、2度の学会報告を経て得られた研究成果を「Coalition-proof overlapping international green R&D agreements」としてまとめ、専門学術誌に投稿することが出来た。当初の目標は理論モデルの構築およびモデルの比較静学分析を想定していたが、論文執筆、学会報告および専門学術誌投稿に至り、研究計画以上に順調に推移していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在投稿中の論文に関しては、専門学術誌のレフリーコメントに従い、アクセプトされるよう論文改訂作業を集中的に行う。また、現在取り組んでいるもうひとつの理論モデルの分析結果については、次年度以降の学会やコンファレンス等で発表可能な初稿段階の論文を執筆する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の当初5カ月は在外研究によりカナダ在住で、研究論文も米国籍の研究者との共同執筆となったため、通常専門業者に複数回依頼する英文校正費用を大きく節約することができたため。 理論モデルの構築・分析に関連した資料(学術雑誌および専門書等)、および、結果の整理に利用する記録メディア等、物品費として使用する。また、国内外の学会やセミナー、ワークショップ等で研究成果を発表する際の旅費としても使用する。さらに、論文を専門学術誌に投稿する際には専門業者に英文校正の依頼をする予定である。
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