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2013 年度 実施状況報告書

歴史的視点からみる日本エレクトロニクスの退潮:産業史的分析

研究課題

研究課題/領域番号 24530388
研究機関東北大学

研究代表者

平本 厚  東北大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (90125641)

キーワードテレビ / エレクトロニクス / 競争力 / イノベーション・システム / グローバル競争 / 産業ダイナミズム / 液晶ディスプレイ / 産学関係
研究概要

前年度での全体の歴史過程の概観と作業仮説の構築を踏まえ、本年度は、①当初の日本企業の優位の形成の局面の資料収集のうち、前年度では完了できなかった、業界誌の収集及び関係者インタビューの着手、さらに②その分析と発表、また、③全体的な文献・資料収集と先行研究の検討の継続、を行った。具体的には、①では、前年度にたてた方針(収集資料の厳選)にしたがい、もっともインフォーマティブと思われる、『フラットパネル・ディスプレイ』各年版、『月刊ディスプレイ』、『液晶』などを収集することに集中し、それをもとに業界事情を調査した。また、日本でも有数の液晶研究者(元電機メーカ・マネージャ)と連絡をとり、研究開発経緯についての調査を開始した。その結果、液晶ディスプレイ産業について当初の日本企業の優位の形成の要因をまとめた。基礎にあるイノベーションのシステムは企業中心であったことが特徴的であること、その革新メカニズムは以前のブラウン管テレビの場合と基本的には同形(企業の同質的競争による産業全体の革新の促進)であるが、ここでは、公的研究機関(NHK技研)の役割が以前とは異なっていたこと(液晶研究での不在)、企業による戦略の違いもみられたこと(ソニーの液晶ディスプレイ参入への消極性)、他方、大学の研究が重要となっており、産学関係も大きな機能を果たしたこと、などが明らかとなった。この日本のイノベーション・システムにおいては、企業間関係や産学関係が強い外部性をもっていたことが重要であったと分析した。②では、こうした成果を社会経済史学会東北部会(平成26年1月18日、東北大学)にて「液晶ディスプレイ産業の形成」として発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

前年度の「研究実績の概要」に記したように、資料収集の規模が予想をはるかに上回ったために、予定が遅れ気味である。とくに成果の口頭発表はしたが、当初予定の論文提出までにはいたっていない。

今後の研究の推進方策

これまでの、日本企業の当初の優位形成局面の分析に続き、本研究の核心部分である、日本産業が韓国、台湾、中国などのメーカーなどに追いつかれ、追い抜かれる過程の研究を開始する。対象時期は2000年代後半以降であり、まず、その過程についての資料収集を行なう。前年度に引き続き、対象資料を絞り、重点的な収集に努める。『月刊ディスプレイ』、『液晶』、電子情報技術産業協会関係資料などが中心になる。並行して、企業の実態調査に着手する。ボイントは、現状の産業状態の確認とグローバル・オペレーションの現状調査である。前者はこの局面の大きな見通しを得るために必須である。後者はこの局面をもたらした重要な要因である可能性が高い。作業仮説としては、通説(モジュール化の進展、企業の投資行動の変化など)の検証が一つの焦点である。
成果については、前年度に積み残した作業である、論文の作成と投稿に努める。

次年度の研究費の使用計画

予定していた調査、資料収集などの事業計画が出張計画立案・執行などの理由から十分には執行できなかった。
次年度は、関係者インタビューや企業調査が本格化するので、旅費に使用したい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 液晶ディスプレイ産業の形成

    • 著者名/発表者名
      平本厚
    • 学会等名
      社会経済史学会東北部会
    • 発表場所
      東北大学

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公開日: 2015-05-28  

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