研究課題/領域番号 |
24530389
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
鈴木 俊夫 帝京大学, 経済学部, 教授 (00139982)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マーチャント・バンク / ロンドン金融市場 / モルガン・グレンフェル商会 / 投資銀行 / ニューヨーク金融市場 / J.P.モルガン商会 / 証券発行 / コルレス銀行 |
研究実績の概要 |
26年度では, マーチャント・バンクと投資銀行の結節点となる米系マーチャント・バンクを考察の対象とした。最初に,モルガン・グレンフェル商会(J.P.モルガン商会のロンドン支店の位置)の社史Kathleen Burk, Morgan Grenfell, 1838-1988, 1989の内容構成,史料利用方法を検討した。またBusiness Archives Councilの代表者などを歴任したEdwin Green氏やJohn Orbell博士から金融業の史料保存状態について専門的な知識を得た。 モルガン・グレンフェル商会の現在の親会社ドイツ銀行から保存史料閲覧に関する特別の許可を得て,ロンドン・メトロポリタン・アーカイヴズにおいて史料調査と収集を実施した。戦間期の25年間にわたり,同商会のバランスシートと損益計算書を分析し資金源泉と収益の動向を把握した。また同商会とニューヨークのJ.P.モルガン商会との交信電文から,ロンドンとニューヨーク金融市場間の取引内容を解明した。 投資銀行に関しては,ロンドン・スクール・オブ・エコノミックス図書館のオンラインデーターベースを利用して,米議会調査委員会資料,Financial Times,Wall Street Journalから関連する情報を収集した。議会資料に関しては東北大学付属図書館所蔵の紙媒体と比較対照した。またGuide to the Papers of T.W. Lamont in Baker Library, Harvard Universityや米国務省外交文書Records of the Department of State, relating to Internal Affairs of Japan 1910-1929を用いて,以前に収集したJ.P.モルガン商会のT.W.ラモント文書の整理と分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度においても予定された海外リサーチを実施して,資料調査と収集・分析作業は順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
投資銀行のビジネス・モデルを構築すべく,既に調査・収集しているニューヨークのJ.P.モルガン・ミュージアム(アーカイヴズ),ニューヨーク連銀アーカイヴズ,ハーヴァード・ビジネス・スクールベーカー図書館所蔵のT.W.ラモント文書,東京大学日本法政史料センター所蔵の井上準之助関係文書などの関連する史料と整理と照合を行い,ロンドン-ニューヨーク間の具体的な取引関係を考察する。必要な場合には,追加の海外リサーチの実施を考慮している。成果の一部については,2015年8月開催の17th World Economic History Congressにおいて報告する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の最終年度において,研究課題の総括の上で必要不可欠となる追加の海外リサーチ旅費への支出を考慮した。 さらに,平成27年年8月京都において開催される第17回世界経済史会議において組織している,当該研究課題に関係する報告セッションに招聘する海外研究者の旅費と,同会議の報告原稿の英文校閲料への支出を予定している。
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次年度使用額の使用計画 |
研究の最終年度である平成27年度では,以下の使用を予定している。(1)研究課題に関する追加の海外資料調査と収集のための旅費,(2)国際会議に海外研究者を招聘するための旅費,(3)研究課題に関して国際会議において発表する英文原稿の校閲費。
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