本研究は,投資銀行の起源と発達を,銀行業態史(金融機関のビジネス・モデルの発展)の観点から国際に比較し,現代的な存在意義を検討するものである。(1) 17世紀のアムステルダムで国際的な取引に従事した商業・金融業者の営業活動の実態と引受信用業務の発生過程を解明した。(2) 19世紀ロンドンのマーチャント・バンクの活動から,商品の売買から利益を得る業務上の体質がマーチャント・バンクに歴史的に備わっていたこと,事業展開の障害となったのが資本規模にあったことを明らかにした。(3) 20世紀米国の投資銀行に関しては,業態的に見て投資銀行がマーチャント・バンクの発展形態にあることを確認した。
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