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2012 年度 実施状況報告書

19世紀末ドイツの高質品生産とその労働力基盤に関する地帯構造論的見地からの研究

研究課題

研究課題/領域番号 24530390
研究種目

基盤研究(C)

研究機関広島大学

研究代表者

森 良次  広島大学, 社会(科)学研究科, 准教授 (10333999)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2017-03-31
キーワードドイツ
研究概要

ドイツ高質品生産の一つの典型をなす西南ドイツの産業振興政策を主導したシュタインバイス(Steinbeis, F. v.)の経済政策思想について検討し、その結果次のことが明らかとなった。①シュタインバイスは、小・零細農と小営業の過剰堆積という問題状況を背景に、適正技術の導入と技能教育を中心とする産業振興政策推進し、これにより中小産業経営の漸進的な近代化を推進した。②しかし同時にシュタインバイスは、近代工業に対しても労働者を「有能な市民」に育てる学校として高く評価し、工場労働者の社会的上昇可能性にも言及している。③具体的に工場労働者を「有能な市民」に育成すべく、シュタインバイスは労働涵養に努めるとともに、手工業出身の工場労働者に対して、工場労働に従事しながら手工業経営を副業的に営むことを奨励した。④以上のシュタインバイスの思想と実践は、経済的独立の基盤をもつ農民・生産者を有力な経済主体・国家市民ととらえる、リストからレプケに至るドイツ経済政策思想史とも多くの接点をもつものと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

シュタインバイスの著作物・文書史料を発掘・収集し、集中的に読み込み作業ができたため。

今後の研究の推進方策

西南ドイツの工業諸都市に立地する工業経営を対象に、労働力構成とそこにおける熟練労働者の位置や労働者の出身地・出自・社会的状態を明らかにする。また当該経営の製品製作・高質品生産の実態を明らかにし、これと労働力構成および労務管理政策との関連を究明する。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度分の研究課題が予想以上に進捗し、旅費等の支出が予定を下回ることになった。平成25年度は、当該年度と前年度分の助成金とあわせて、3週間程度のドイツでの資料調査を実施する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] シュタインバイスの産業振興政策論,2012

    • 著者名/発表者名
      森良次
    • 雑誌名

      『経済論叢』(広島大学)

      巻: 第36巻第2号 ページ: pp.137-154.

  • [雑誌論文] シュタインバイスの経済政策思想-ツンフト擁護と職業技術教育論2012

    • 著者名/発表者名
      森良次
    • 雑誌名

      『経済論叢』(京都大学)

      巻: 第185巻第3号 ページ: pp.21-32.

  • [図書] 『19世紀ドイツの地域産業振興-近代化のなかのビュルテンベルク小営業-』2012

    • 著者名/発表者名
      森良次
    • 総ページ数
      298
    • 出版者
      京都大学学術出版会

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公開日: 2014-07-24  

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